久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」

久保野孝太郎(くぼの・こうたろう)

1969 年生まれ。がまかつフィールドテスター。関東勢初のG 杯グレ優勝を果たしたほか、G 杯チヌでも準優勝とトーナメントシーンで輝かしい戦績を残し、全国の磯を舞台に活躍。

久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」

神奈川県真鶴半島④

久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」画像18
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潮が本格的に上げ始めると、同時に南風が強くなって沖からの風と波が磯に打ち寄せるようになりました。もちろん海の様子にも変化が。右手からの流れがさらに強まった結果、左からの流れは表層へ追いやられ、右からの潮流はその下へ潜り込むように交差して左へ抜けていくようになりました。このようにコロコロと変わったり、表層と中層で流れの向きが違ったりするのが地磯の難しさでもあります。特に今回竿を出した真鶴や東伊豆エリアはその傾向が強く、初めての人にはわかりにくいかもしれません。
その後も風と波は強まる一方。それによって下の流れにハマった仕掛けが外れないよう、ハリスに打ったガン玉をG7からG5にチェンジ。そもそもガン玉を打たずともゆっくりと沈むウキを使っていたので、沈みすぎないように仕掛け全体を張り気味にして流していきました。
そしてコマセがほぼ尽きた頃合いで、「一か八か!」と潮下に遠投した仕掛けに40㎝オーバーの尾長グレがヒット。そもそも口太狙いだったのでこのサイズの尾長は望外でしたが、粘りが報われたうれしい一尾でした。
ちなみにこの尾長グレは持ち帰って知人に調理をお願いしたのですが、沖から入ってきたばかりだったのか胃や腸の中にはマキエが一切入っていなかったそうです。魚が回遊してくるまでじっくり待てたことが、終了間際の良型尾長ゲット!を演出したのかもしれません。

久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」画像20

正面から吹いてくる南風によって発生した波シブキが降りかかる中、「忍」の一字で粘る久保野さん。この姿勢が最後に幸運を引き寄せることに!

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風と波が次第に強まり、潮位も上がって断続的に波シブキが飛んでくるようになった16 時頃。最後の1投という土壇場で竿が曲がって41.5㎝の尾長グレをゲット。まさに値千金!