久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」

久保野孝太郎(くぼの・こうたろう)

1969 年生まれ。がまかつフィールドテスター。関東勢初のG 杯グレ優勝を果たしたほか、G 杯チヌでも準優勝とトーナメントシーンで輝かしい戦績を残し、全国の磯を舞台に活躍。

久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」

現場でよく見る“釣れない”人への提言③

釣れないからと仕掛けをイジりすぎ!

細部に手を加えるよりも魚が食うタナへ確実にエサを入れよ!

釣り場には多様な人が出入りします。仕掛けもポイントも変えずにひたすら同じことを繰り返す人もいれば、釣果が出ないからとコロコロと仕掛けを変える人もいます。釣れないときに試行錯誤するのはいいことです。ただ、ものには限度があります。仕掛けに手を加えることに時間を使い過ぎては本末転倒ですし、そもそも闇雲に細部に手を加えてもその変更について成否の判断ができません。

魚を釣るための根本は狙う魚の居場所や遊泳場所に付けエサを届けること。それを可能とする仕掛けを組んで、攻めの精度を高めることが最優先です。ハリを替えたりハリスを細くしたりする試行錯誤は「仕掛けがイメージどおりになじんで、付けエサが狙いのタナにきちんと届いているのに魚が食わない」という確信が得られてからでも遅くありません。

よくゴルフに例えて説明するのですが、ビギナーが本格的なゴルフ場に行ったところでOBを連発するのがオチです。そんな人が「このドライバーは……」「このボールは……」などと細部にこだわったところで意味がないことはおわかりいただけるでしょう。まずは打ち放しの練習場に通って1本のクラブで練習する。これを繰り返して基礎を身につけるのが上達の近道なのです。ウキフカセ釣りも同じです。まずは確実に仕掛けをなじませる技術を身に付けてください。

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ベテランは現状の仕掛けや釣り方で“合っていない”ことを探し出して修正を施していくが、慣れない人には至難の業。まずは基本の反復練習を徹底したい。

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オモリの重みがウキに乗り、その後ハリスがなじんでエサの重みが乗るとウキがもう一段階押さえ込まれる。これを確実に反復するのが基本中の基本。

久保野が考える“釣れる”人になるための宿題!

とにかくこの仕掛けで釣ってみて!
細部にこだわるのはコレを使いこなしてから!

ウキフカセ入門者に対するアドバイスとして昔から言われていることに「同じ仕掛けをひたすら使い込みなさい」というのがあります。私もこのアドバイスには賛成です。前述のように基本的な技術を身につけないままでは、道具の性能を最大限発揮することはできません。使いやすい道具を揃えたら、まずはそれを使い込みましょう。

私が周囲の人に勧めている仕掛けは右図のようなものです。この仕掛けを組んで、まずは遊動部分がしっかり落ちたのを把握してもらうことから始めてもらいます。遊動が落ち(ウキ止めがウキに到達する)、それに続いてハリスがなじんでいき、最終的に付けエサの重みがまでが乗るとウキがゆっくりと沈んでいく。これが理想です。いつまでもこうならない場合は①ハリスがなじむまでの間でエサが取られている、②ハリスが表層の流れを突破できていない、③道糸やウキが表層流や風に引っ張られて遊動部分が落ちていない、などの理由が考えられます。

念のために言っておくと、必ずしも0ウキである必要はありません。軽い仕掛けが苦手な人は3Bウキ+ガン玉3Bの組み合わせから始めてもかまいません。仕掛け全体が重くなるぶん食い込みは悪くなりますが、仕掛けをなじませるのは容易になります。自分がやりやすいバランスから試して、慣れたら軽くしていく。それでOKです。

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