久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」

久保野孝太郎(くぼの・こうたろう)

1969 年生まれ。がまかつフィールドテスター。関東勢初のG 杯グレ優勝を果たしたほか、G 杯チヌでも準優勝とトーナメントシーンで輝かしい戦績を残し、全国の磯を舞台に活躍。

久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」

久保野に聞きたい!読者のお悩み③

伊豆半島の磯でグレ釣りをしています。釣り場を決める際に悩むのはやはり風。天気予報を確認して風裏を選ぶのが基本だとはわかっていますが、風が弱そうなら海がザワついて魚の活性が高まりそうな風表の場所を選んでしまいます。ただ、それが大ハズレでヒドい目にあうことも……。取材などで釣り場を選ぶ際の風や天気の見方を教えてください 。
(静岡県・川口 秀幸さん)

判断の基準は“釣りがしやすい”ことですから風裏を選ぶようにしています。

この質問は答え方が難しいですね。というのも、私が釣り場を選ぶ際は「魚の活性が高い」ことよりも「釣りやすい」ことを優先しており、必ず風裏を選んでいるからです。取材や撮影となれば同行者の安全も確保しなければならず、なおのこと風には気を使います。

確かにゴロタ場や浅場の地磯などのように、海がザワついているときに魚の活性が上がって食いが立つ場所やタイミングは存在します。ただ私は「低活性の魚をいかにして釣るか」に挑む釣りが好きなので、釣りがしやすい風裏の場所を選びます。

風裏を選んだうえで私が気にしているのは、「潮が動くかどうか」。干満の時間や潮位差を事前に確認するほか、沖磯なら上り潮・下り潮(※上の囲み参照)の入り具合を船長などと相談して決めています。

久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」画像1

ゴロタ場や浅い地磯周りなどは向かい風で少々波立つ状況で好釣果が出ることがあるのは事実。ただ、釣行の際は「釣りやすさ」を重視する久保野さんは風裏を選ぶようにしている。

久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」画像2

久保野さんの釣りは「低活性の魚にいかにして口を使わせるか」がメインテーマ。狙ったとおりに仕掛けを操作しやすい風裏の場所はウデを磨くにもうってつけ。

川口さんと同じ悩みを持つ人へ、久保野の処方箋!

「潮」も気にしてみてはどうでしょう

天気予報はあくまで「予報」。川口さんの質問にもありましたが、特に風については予想外の向きや強さ、推移になることがよくあります。個人的な意見としては、まずは釣りやすい風裏になる場所を選ぶようにし、「潮」についても気にしてみるといいと思います。風を読むのも難しいですが、潮読みもなかなかですよ(笑)

久保野流・天気予報サイトの活用法

川口さんからの質問には「どんな天気予報サイトを見ていますか?」という内容もあったのでこちらで補足しておきます。私が利用しているのは「Windy(写真左)」「バイオウェザーサービス(写真右)」の2つがメイン。前者は10日先までの風や波の推移が確認でき、無料でインストールできるスマホアプリもあります。後者は1週間分の天気図を確認することができ、風や波の具合を予測するのに重宝しています。定番の「Yahoo ! 天気」も確認しますが、これまでの経験上、海沿いの風を見る場合は表示される数字を1.5倍にして考えるくらいがちょうどいいようです。ほかにも釣り人がよく使うサイトには「GPV気象予報」「tenki.jp」「海の安全情報 気象現況」などがありますが、大事なのは複数のサイトを見比べること。それぞれにクセや傾向があるので、毎回見比べながら確認してください。

久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」画像4