久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」

久保野孝太郎(くぼの・こうたろう)

1969 年生まれ。がまかつフィールドテスター。関東勢初のG 杯グレ優勝を果たしたほか、G 杯チヌでも準優勝とトーナメントシーンで輝かしい戦績を残し、全国の磯を舞台に活躍。

久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」

久保野に聞きたい!読者のお悩み②

釣り場に着いたとき、久保野さんのような上級者はどうやって状況判断をするのですか? 釣りをするうえでいい流れ(利用できる流れ)があるかどうかはパッと見てわかるのでしょうか? 地上から見てそれがある程度わかるれば、釣り座選びやアプローチの目安になると思うのですが……。久保野さんの見立てを教えてください。
(神奈川県・黒澤 悟さん)

大まかにはわかりますが、外れることも……
海を広く見て、トライ&エラーを繰り返そう!

いわゆる「潮読み」というヤツですね。これもよく聞かれる内容です。それだけ皆さんお悩みなのでしょう。

いきなり話が変わりますが、皆さんは川面を見ればその川の流れの向きがわかりますよね? 誰もが何となく川の流れの向きの見分け方を身に付けたように、私も海を観察していたら読み取れるようになった。それが答えです。

ただ、すべてズバリと当てられるわけではありません。いざ仕掛けやマキエを入れてみたら見立てと大違い、ということは今でもたまにあります。ですから最初は間違って当たり前です。

大事なのは、海を見た際に「ここはコッチに流れているかな?あの辺はアッチへ流れているかな?」と一応の予想を立てること。その際に目を付けておく要素は無限にあるのですが、代表的な現象のみ図示しておきましたのでご参考までに。

その予想を元に仕掛けやマキエを入れれば、その正否が判明します。何が違っていたかを把握し、それを記憶しておきましょう。それを繰り返すと、自然と潮の動きが読み取れるようになってきます。すぐに潮読みができるようになる秘策は思いつきませんので、トライ&エラーを繰り返して身に付けましょう。

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①見渡して予想を!

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釣り場に着いたらまずは高場や全体を俯瞰できる場所で見渡して海全体を眺めながら水面に変化のある場所を探す。

②実際に確認!

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おおまかに予想を立てたらマキエや仕掛けを入れて確認。正否ではなく予想→検証→学習という一連を蓄積していくことが大事!

③変化には敏感に!

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サラシや潮目、泡溜まりなど海の変化への目配りは基本中の基本。短時間でもコロコロと変わるので常に意識しながら竿を出そう。

黒澤さんと同じ悩みを持つ人へ、久保野の処方箋!

視野を広げ、予測を立てる!

ハッキリ言って即効性のある処方箋はなく、目の付け所になるような実例を挙げるのが精一杯です。重要なのは、海を見て大まかに予想を立ててからマキエや仕掛けを振り込んで答え合わせをすること。これを繰り返すうちに実体験が蓄積し、「こう見えるときはこう流れているはず!」という判断力が身に付いていきます。

人に聞くのもいいのですが、そのときも必ず自分なりの見立てをしたうえでにしましょう。間違うことも“潮を読む眼力”を養う意味では重要な経験になります。

「上げ潮」「下げ潮」、「上り潮」「下り潮」とは?

次の質問でも触れますが、潮流についてよく話題になる用語として「上り潮」「下り潮」があります。ベテランは当たり前のように「ここは上り潮がいい」「昨日は下り潮が入ってたらしいよ」などと情報交換しますが、知識がない人にとってはポカ〜ン……な内容です。また、似たような言葉に「上げ潮」「下げ潮」もあり、混同しやすいのも難。そうならないためにも、それぞれの意味を頭に入れておきましょう。

まずは誰でも知っている「上げ」「下げ」。「上げ」が満潮に向かって潮位が高まっていく時間を指し、「下げ」は干潮に向かって潮位が低下していく時間帯のことです。潮流の向きを指す言葉ではありません。

「上り」「下り」は鉄道路線や道路などの交通用語としても使われるように、向きを示しています。交通用語は東京を基準点としますが、潮流を示す場合にその基準点は京都に置かれており、京都方向へ流れる潮流が「上り」、その逆が「下り」となります。

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