久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」

久保野孝太郎(くぼの・こうたろう)

1969 年生まれ。がまかつフィールドテスター。関東勢初のG 杯グレ優勝を果たしたほか、G 杯チヌでも準優勝とトーナメントシーンで輝かしい戦績を残し、全国の磯を舞台に活躍。

久保野孝太郎「ウキフカセ秘伝」

伝統の「本調子」を継承したグレ釣りを“愉しむ”一本

久保野が語る『がま磯 スーパープレシード』
往年のグレ釣りファンに愛された名竿が待望の復活!
当時は憧憬の眼差しを送るのみだった久保野孝太郎が2021年に甦った3代目『プレシード』を語る。

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往年の名竿『プレシード』2021年、華麗に復活!

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私が「がま磯」を使い始めた頃、ベテランの「がま磯」ファンがこぞって虜になっていた竿がありました。当時の私は競技系の竿を主に使っていてその竿を実際に使うことはありませんでしたが、その後も並み居る先輩方から「あの竿はよかった……」と話題に上っていたため強く記憶に刻まれています。
その竿の名は『がま磯プレシード』。多くの磯釣りファンから愛されたこの名竿が今秋復活を果たすこととなり、私も実際に使う機会に恵まれました。
この竿の特徴はなんといっても独特の「曲がり」です。
数ある「がま磯」のラインアップなかで最上位に位置する『インテッサ』は、すべてにおいて最上の“強い”竿です。
それに対して『プレシード』は、しなやかに曲がり込んで魚をじっくりと浮かせる調子で多くのファンを魅了しました。その遺伝子は3代目となる『スーパープレシード』にも継承されており、オールドファンも納得の「本調子(がま調子)」が息づいています。

がま磯伝統の本調子がグレの引きを受け止める

とはいえ、初代の頃からは製造技術や素材が格段に進歩していますから、単なる再現には留まっていません。この竿には、適所に衝撃吸収性に優れた特殊素材を配置して瞬間的な衝撃を緩和する新設計『INASYSTEM(イナシステム)』が採用されています(注)。文字どおり魚の引きを「いなす」ことで仕掛け全体をいたわり、確実な取り込みを可能にします。
魚を掛けてからの曲がりの美しさも注目点です。まるで継ぎ目がないかのように美しく曲がり込み、魚の引きを竿全体で受け止めてくれます。
ここ10年ほど主流となっていた「ある程度曲がり込ませてやると胴の部分が働いて粘っこく力を発揮する」というタイプの竿とは多少“味付け”が異なり、竿全体で引きを受け止めてから粘り強く起きてくる調子に仕上げられています。今のグレ釣りファンには新鮮に感じられるかもしれませんが、これこそ本調子(がま調子)の原点なのです。
車に例えるなら、後部座席に要人を乗せて運ぶような高級サルーンといったところでしょうか。パワーや走行性能をウリにしたスポーツカーやSUVとは一線を画す雰囲気の竿ですから、魚の引きをじっくり楽しみながらヤリトリしたい人には堪らない感動があるはずです。また、竿がしなやかに曲がって引きを受け止めてくれるので、女性にもおすすめできます。

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左)代々続く独自の玉口デザインは今作も継続。細部にまで個性が光る一本だ
右)道糸の張り付きを防ぐ表面加工は高級感のあるゴールド仕様

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釣り人が“曲げ込む”ことで力を発揮するのではなく、魚の重みを竿全体で受け止めてからジワリと起きてくる調子が『がま磯スーパープレシード』の特徴。新設計「イナシステム」の採用により不意の衝撃もスムーズに分散して仕掛けにかかる負荷を軽減する

(注)ロングスペシャルには不採用