まき餌ワークを別次元へ
猪熊博之&久保野孝太郎
現在のグレ釣りにおいて、まき餌ワークは釣果を大きく左右する最も大事な要素と口を揃える猪熊博之と久保野孝太郎。ともに愛用するのは楕円16cc・750mmだ。
「例えば30m沖の潮目を狙うとして、自分の場合、1mの円形にまき餌を打ってその中に仕掛を合わせていく。そうすることでサシ餌を効率よく喰わせられるんですよ。まき餌が2m、3mと離れてバラバラになると魚も散ってしまいますからね。より高い精度で狙った所にまき餌を打つために、一番にこだわったのが調子です」と猪熊。数多く用意された調子の中からテストを繰り返し、最後に残った1本をさらにプラス1%、マイナス1%と細かく刻み理想の張りと粘りを追求。
「楕円のカップは、まき餌が縦回転で飛ぶため空気抵抗が少なく、シャフトに対して7度の角度をつけることで杓離れも良くなりました。また、グリップを少し大きくすることでフィット感が増し、振りやすくなりましたね」
これらの要素を盛り込むことで、これまで以上にコントロール性能と遠投力が向上。猪熊の釣りを強力にサポートする1本に仕上がったのだ。
「やっぱりまき餌杓って竿と一緒で調子と軽さとコントロール性能なんですよ。潮の中にまき餌を撒いて仕掛を流していけば、どこかで餌が同調して喰うっていう昔の釣りと違って、わずかな変化を探しながら、まき餌を撒いて仕掛を合わせていくのが今の釣り。刻々と変わるポイントに高い精度でまき餌を撒くために1日振っても疲れない、狙ったところに飛ばせるまき餌杓は一番大事な道具じゃないかな」と久保野はいう。
「750mmは、立ったまま真っすぐ下ろしてバッカンの中で底までしっかり届く長さ。ストレスなくまき餌をすくって投げられる長さだよね」
南 康史
まき餌ワークを駆使して浅いタナに浮かせて狙うのが南康史のチヌ釣りスタイル。バラケやすさを重視してあまり練り込まず、オキアミも細かく刻むのではなく形が残るように作り上げたまき餌を1投につき多めに撒くためカップサイズは22cc。
一方、冬場に楽しむグレの場合は、少量を回数撒くので16cc。ただ、どちらの釣りでもカップ形状は遠投がしやすい楕円を愛用する。
「シャフトの長さは、そんなに投げなくていいときは750mm、より遠投が必要なときは800mmにしています。チヌ釣りの場合は16ccカップではなく22ccをメインにしています」
フカセ釣りでは1日まき餌を続けるため、シャフトの調子も重視する。
「まきーなファインスペシャルⅢは少し柔らかく竿でいえば胴調子。腕の力で撒くのではなく、弾力で飛ばすイメージです。若いころは硬いシャフトを使っていましたが、歳を重ねるにつれて肩や肘、手首に痛みを感じるようになってきた。柔らかいシャフトはそうした負担が少ないですね。それに硬いシャフトの場合、狙い通りに撒くためには、振り切ったり微妙なラインで止めたりといったコツを覚える必要がありますが、シャフトをしならせて弾力で撒くこの杓は、そんな必要がない。握りやすいグリップ形状と相まって誰でも撒きやすく、初心者や女性でも使いやすい一本ですね」
中西 毅
「シャフト全体がけっこう曲がるんだけど、先の方が少し硬めという絶妙なバランスです。バッカンの中でまき餌を押しつけやすく、とても投げやすい。全体が柔らかいとコントロールが出ませんからね」と話す中西毅がセレクトするのは楕円カップ22cc・800mm。
「少し長いですけどすごく軽くて、楽に扱える作りになっています」。
チヌ釣りでは釣り場の地形によって、まき餌を撒く位置や距離、塊で効かせるのか、バラケさせるのかといったように撒き方を変えて攻めていく。
「今回のカップは少し深めになっているので、沖へ塊で遠投したいとか、塊のまま深いタナまで効かせたいといった撒き方がやりやすい。楕円形状は、サイドスローでバラバラっときれいに広げて撒けるので、まき餌をふわーっと効かせてその中を探るような釣りにも使いやすいですよね」
横から見たときシャフトに対してカップは7度の角度がついている。
「普段はまっすぐなカップを使っている人が投げたときにも、軽い力で飛距離が出る汎用性の高い角度なんですよ。1日まき餌を撒き続けると手がたこだらけになるんですが、EVAグリップは全然痛くならないし、滑り止め効果も高い。まきーなファインスペシャルⅢは、そんないろんないいとこ取りをしたまき餌杓ですね」
北村憲一
「集魚材を使う釣りや遠投性能でいうと楕円のカップが投げやすいんですけど、僕が得意なエリアはオキアミボイルと赤アミ(アミエビ)をそのまま撒く。そういうときは三角カップの方が、まき餌を切って撒きやすいんですね」
高知県沖ノ島や鵜来島でスレッカラシのデカ尾長狙いをライフワークにする北村憲一のお気に入りは三角カップ20ccだ。
「尾長狙いではウキの潮上にまき餌を長く撒くと、まき餌が仕掛についてくるので餌の同調時間が長くなる。流れの状態によっていかにうまくまき餌を切れるかが大事なんですけど、三角カップは縦に切ったり横に切ったり、自分の思ったように広げて撒きやすいんですよ」
サシ餌を素早く見切るデカ尾長だけに、いかに餌を同調させてカモフラージュするかが大きなポイント。それを高い精度で実現するためのこだわりが三角カップなのだ。
「前作よりカップを少し深めにすることで、まき餌のまとまりがより強くなり遠投性能が上がってます。それに加えて、バッカンの中でまき餌を押しつけたときにどれだけ水分が抜けてまとまりが出るのか、杓離れがいいのかなどカップに開ける穴の位置や数にもこだわりました」
シャフトの長さは650mmをメインに、遠投したいときには750mmをセレクトする。