軽快な操作性と強靭なトルクを生み出すグレスペシャルTは、大型の口太グレ狙いに最高のポテンシャルを発揮する。近年増えているミドルクラスの尾長グレにもしっかり対応する胴調子ロッド。寒グレシーズンまっただ中の長崎県上五島で猪熊博之が、潮変わりのチャンスを捉え1.25号5mで49cmと50cmを仕留め、それを証明したのだった。
猪熊博之いぐま・ひろゆき
浮力が細分化された0ウキによる全遊動仕掛を駆使し、ハリスをまったく張らない“フリーフォール釣法”でグレを手玉に取る。第30回G杯争奪全日本がま磯(グレ)選手権優勝。ホームは大分県。がまかつテクニカルインストラクター。
潮変わりに大型を連打。
上五島でTのポテンシャルを
存分に発揮
ステージは黒藻瀬のマナイタ
「軽いわ、やっぱ軽っ」
タックルをセットしながら猪熊博之はつぶやいた。手にするのは、がま磯グレスペシャルT1.25号5m。190gという軽量化を実現した張りのある胴調子で、大型口太を想定したセレクトだ。
ステージは上五島、黒藻瀬のマナイタ。2月中旬のこの日は北西風が強く、足場の低いところは風波をかぶっているため、船着き近くの高いところからの竿出しになった。
4ヒロ取った1.7号ハリスに0ウキとストッパーを入れた全遊動仕掛を組み、掛りすぎ口太5号ファインピンクをセット。ウキ下2ヒロで午前7時40分に釣りを開始した。竿2本ほど沖へまき餌を打ち込み、そこへ向けて仕掛を投入。2投目に30cmほどの口太グレを仕留めると、3投目には35cmクラスをキャッチ。そこからはワンキャストワンヒットであっという間に2ケタをクリアした。
「大事なのはウキとサシ餌を近くに落として、まき餌の中にサシ餌をフリーフォールさせること。風が強いとウキとサシ餌が離れやすいんだけどライナーで投げることで理想の形にもっていける。グレスペシャルTは操作性が良くて狙ったところに打ち込めます」
1.25号、1.5号、1.75号の3号数でそれぞれに5mと5.3mをラインナップ。
手にした瞬間、「軽っ!」と思わず声が出た猪熊。これから始まる釣りにワクワクしながら竿を伸ばす。
新登場のまきーな ファインスペシャルⅢでコントロール良くまき餌を遠投する。シャフトの硬さとカップの形状にこだわった1本だ。
ウキとサシ餌をすぐ近くに着水させる。ハリスを張らないのがフリーフォール釣法のキモだ。
先太・先短穂先の優位性
鈎上のハリスを左手でつかみ、右手で竿を振り下ろす瞬間にハリスを放すと低い軌道で仕掛は飛んでいき、ウキとサシ餌が近くに着水。一般的な投入では水平前後で穂先を止めるが、猪熊の場合、そのまま海面近くまで下げていき、ウキが着水した瞬間に穂先をスーッと引く。するとサシ餌とウキは近くに落ちたまま、ウキから穂先までの道糸が一直線になる。風の影響を受けて仕掛がズレることなくまき餌の中にサシ餌がフリーフォールするのだ。
その精度は、サイズアップを求めて遠投に切り替えたあとも変わることはなかった。
10時56分、30m沖から40cmオーバーを引き出したが、横風が強く吹きつける状況下、ウキとサシ餌が離れることなくまき餌近くに着水すると同時に穂先からウキまでの道糸が一直線に伸びる様はマジックのようだった。
「先打ちのまき餌に合わせるコントロール性能が求められる現在のグレ釣りにおいて、いままで以上にストレスなく操作できる機能を備えた仕上がりですね。軽くて遠投性能があり、軽く振るだけでスムーズに仕掛が飛んでいく。先径を0.88mmと従来のものより太くした先太設計と、穂先の節を短くした先短設計のおかげです。柔らかくてブレる穂先だとコントロールもブレるんですけど、穂先にほどよい張りがあるのでコントロールが利くし、そのあとのライン操作もやりやすいですね」
強い横風を感じさせないシャキッとした張り感で、投入や操作がビシバシ決まる様は見ているだけでも気持ちいい。軽快かつ正確に沖のポイントを狙い撃ち、次から次へとグレを仕留めていく猪熊だった。
先打ちのまき餌めがけて
精度の高いキャストが決まる
「先打ちのまき餌の中にいかに正確に仕掛を打ち込めるかがいまの時代のグレ釣りです。グレスペシャルTは軽く振るだけでよく飛び、狙ったところに入れることができる仕上がりになってますね」
従来の胴調子竿にはなかった軽さと張りだから、片手でコントロールよく仕掛が投入できる。
先太&先短設計の穂先は適度な張りがあり、高いコントロール性能と操作性を実現。
潮変わり後すぐにヒットした40cmオーバー。ここから良型の連打が始まった。
強靱なトルクはさすがの胴調子
「潮が変わればサイズも変わると思います。正午ごろが干潮なので、上げ潮になる午後に期待ですね」の言葉通り、12時15分に30m沖の遠投で丸々肥えた40cmクラスがヒット。そこからサイズがそろいだした。
「これが五島のポテンシャル。潮が良くなれば型のいいのが潮に出てくるので、そこにまき餌を撒いて寄せて喰わせる。大事なのは先打ちのまき餌に仕掛を正確に合わせること。それに一番気を遣っています」
そして12時36分、これまでとは明らかに違う引きにグレスペシャルTが大きく弧を描いた。重々しい締め込みに追随して胴から曲がり込み、引きが収まるやいなやじわりじわりと起こしてくるトルクはさすが胴調子。ウルトラASDを採用しジョイント部分の存在を感じさせないきれいな曲がりは、まさに伝統のがま調子だ。
やがて海面下に大きなグレが浮いてきた。タモに収めた魚をメジャーに乗せると49cm。立派な口太グレだ。
「風が左から吹く中、潮が右から左に変わって、仕掛がなじむまでに少しずつズレていくので、それを考慮してまき餌の少し沖の左側に仕掛を落としたんですよ。仕掛がなじんだころに、右から流れてくるまき餌に入るように心掛けて遠投で喰わせた1尾ですね。タナは1ヒロ半ぐらいです」
美しい曲がりが発揮する
強靱な粘りとトルク
ウルトラASDを採用し、ジョイント部分の存在を感じさせないきれいな曲がりでグレの引きを受け止める。
「グレが横になった状態でふわっと浮いてきますよ」
ウルトラASDが
反撃のスキを与えない
魚が掛かると胴に乗って引きをいなす。がまかつ伝統の胴調子竿らしい曲がりを見せてくれる。
12時36分に仕留めた49cmの口太グレ。この1尾で十分満足だったが、30分後にさらなる大型を仕留めたのだから恐れ入る
横になった状態でふわっと浮く
2025年秋に登場したグレスペシャルFのテスト釣行でも49cmの口太を仕留めている猪熊。Tでも同型をきっちり仕留めてしまうとは役者が違う。
「Fの方が張りが強いので、そのぶん魚を誘導しやすいですが、グーッと上がってきたらガッと突っ込んでっていう繰り返しだったんですけど、Tは竿をためていたら魚が横になった状態でそのままふわっと上がってくる。しっかり胴に入ってトルクのある竿っていうのがよく分かりますね」
そして、1時10分。さらなるクライマックスがやってきた。先ほどと同じ遠投ポイントで、重々しい引きに竿が大きく曲がり込んだ。竿尻を下腹に当てて締め込みに耐え、じわりじわりと間合いを詰めていく。再び大きなグレがタモに収まった。メジャーに乗せるとジャスト50cm! 待望のゴーマル口太だ。
「大きいサイズの口太や、いきなりバーンとくる45cm前後の尾長の引きに耐えてあしらえるというコンセプトで生まれたTだけに、安心してやり取りができますね。喰わせるまでの仕事についてはFもTも同じ性能を持っています。振り込みやすさ、遠投のしやすさ、コントロール性能については一緒なので、魚を掛けてからのテイストで選んでもらえればいいと思います。釣り人主導であしらいたいならF、仕掛に負担をかけずにちょっと細いハリスでもじっくりやり取りしたいのならT。どちらも本当に軽いので、風が強い日でも疲れることなく1日を通して釣りに集中できますからね」
潮変わりのチャンスを逃すことなく狙いのデカ口太を2尾仕留めた猪熊。グレスペシャルTの仕上がりに満足し、マナイタを後にした。
海面に横たわるグレにタモが伸びる。釣り人勝利の瞬間だ。
興奮冷めやらぬ中、午後1時10分に仕留めたのは、ジャスト50cmの口太グレ。先に発売されたグレスペシャルFのときと同様に、デカ口太でテスト釣行のファイナルを飾ってくれた。
赤く燃えるエンブレムのTが印象的。