この竿の最大の特徴は、圧倒的な目感度!
そう語る中山キングが手に持つのは、
タチウオテンヤの新作竿・TTフリークだ。
ML~XHまでパワー別に5機種をラインナップし、
あらゆるタチウオテンヤシーンをカバーする。
そんなTTフリークの実力を秋の大阪湾で披露してもらった。
中山 武嘉なかやま・たけよし
大阪湾タチウオキングバトルにおいて2020年、2021年優勝、2022年3位の歴代最高の戦績を持つ名手。幼少のころより海上釣り堀などテクニカルな釣りを楽しんで育ち、22歳で船のタチウオテンヤを経験、その魅力に取り憑かれて今に至る。がまかつ船フィールドテスター。
目感度に優れた
タチウオテンヤ専用モデル
細かな変化を察知する目感度に優れたタチウオテンヤ専用設計。超繊細脱着並継方式のグラストップを搭載することで竿先に現れる変化が大きくわかりやすいのが特徴。モタレやじゃれつきなどを的確に察知でき、魚との間合いを見極めながらゲームを楽しむことができます。本体ブランクにはTORAYCA®T1100Gを採用し、軽量でありながら粘りとパワーを搭載させており、大物もスムーズに取り込むことができます。またレスポンスを十分確保することで瞬時のフッキングにも応えてくれます。幅広い状況に合わせた5パワーをラインナップしています。
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ML 179
浅棚攻略や活性の低い時の喰わせ重視モデル。柔軟で繊細な穂先が細かなアタリを逃さずキャッチ。追わせて喰わせて掛ける。余裕とレスポンスが融合したモデル。
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M 177
浅場のオールラウンダー。ラインに水圧が掛からない状況で幅広く使えるバランスのとれた一本。優れた操作性とアタリを見極める繊細さが融合。
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MH 175
さまざまな状況に対応できるオールラウンドモデル。深場などラインに水圧が掛かる状況でも操作性を失わないレスポンスを備えている。
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H 174
攻め調子のハイレスポンスモデル。仕掛けを積極的に動かしアタリを出しにいき掛け時を見極めるといった攻めのスタイルにマッチします。高活性時に手返しよく掛ける時にも威力を発揮。
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XH 170
レスポンスに特化した攻め調子のモデル。超高活性時の手返しよく掛けるような場面で威力を発揮します。激流+深場、50号以上のヘビー級テンヤでもキレの良いアクションが演出可能なパワーとレスポンスを備えている。
核心は即掛けでも
確実に掛けること
「自分の釣りスタイルにもっともマッチしているのは、TTフリークの中ではH174」。トーナメンターである中山キングの釣りは、誘いを駆使した攻撃的な速い釣り。必然的に、張りのある強いロッドがマッチする。ただし、単に誘いをかけやすい、あるいは、タチウオを掛けやすいという理由だけで選んでいるのではない。
水中におけるテンヤの理想とする姿勢のコントロールにまで、話がおよぶ。実際、一番、硬いモデルであるXH170ではなく、H174を指定している。「XH170までいくと、通常よりも水深の深いところで出番があるイメージ」では、強豪ひしめく大阪湾で抜きんでた釣果を叩き出す中山キングのテンヤスタイルを紐解いていこう。
テンヤが水中で水平姿勢であると仮定した場合、タチウオが鈎軸へ真下から喰い付くときが最も鈎掛かりしやすいと中山キングは考えている。水平姿勢のテンヤを竿で動かすと、テンヤのヘッドが上がると同時に鈎先はテコの原理で回転、鈎軸に喰い付いたタチウオの頬を最短距離で貫通する。頬は鈎穴が広がりにくくキャッチ率が高く、鈎軸に対して真下以外、つまり横や後方からタチウオが喰い付いた場合は鈎掛かり率が低下、掛かり所も不安定でバラシが増える。
中山キングが軸としている釣法“即掛け”において、最も重要視していることが“跳ね上げアタリ”を出させることなのだが、この“跳ね上げアタリ”の正体こそ、タチウオがテンヤの鈎軸に真下から、それも勢いよくアタックしてくる状態だ。とはいえ、一般に即掛け釣法はどこに掛かるか分からず、即掛けせずに追わせたほうがタチウオに鈎軸を真下から喰い付かせて確実にフッキングさせられると考えられている。実際、即掛けをやろうとして空振りばかりだったり、バラシが多い経験をした人も多いはずだ。だからこそ、“跳ね上げアタリ”を出させることが重要になる。そして跳ね上げアタリを出させるには、タチウオの捕食スイッチを入れ、テンヤを上へ追わせる必要がある。そのために誘いの動作でテンヤを動かしてアピールする。
リアクションの誘いで
速い展開に持ち込む
中山キングの誘いはタチウオテンヤの基本でもある「ワンピッチジャーク」と「ストップ・アンド・ゴー」、そして「ステイ」の組み合わせ。ワンピッチジャークは2~3回、しっかりと強くシャクって2メートル近くラインを巻き取る速い動作がワンセット。数秒ステイさせてワンピッチジャークを繰り返し、タナをスピーディーに探る。中山キングが好むロッドアクションはテンヤを機敏に動かすことができるバットが強い硬めの仕様で、小さくシャープなジャークでテンヤをしっかりアクションさせる。潮流が複雑で深場も狙う大阪湾ではとくに重要視しているそうだ。
ストップ・アンド・ゴーはハンドル2~3回転、多いときは5回転。2~3メートル以上一気に上に動かして活性の高い個体を誘い出す。ステイの時間は2~3秒からアタリが出るタイミング、つまり活性によって測っていくのだが、即掛け、あるいは鬼掛けと呼ばれる状態は、誘いを止めた瞬間にアタリが出ることが多い。これらテンヤを強めにアピールしてタチウオに反応させる誘いは「リアクションの誘い」と呼ばれる。そしてリアクションの誘いに反応するタチウオを選び出し、上へ誘いつつ早いタイミングでアタリを出させることを「速い展開」と言う。リアクションの誘いで捕食スイッチが入ったタチウオは、速いテンポで上へ逃げるテンヤを追いかけるため下から喰い付くことになる。そのため“跳ね上げアタリ”が出る確率が高まる。中山キングの“即掛け”は、一連のプロセスのスピードと効率を究極まで高める超攻撃的釣法といえる。
即掛けの極意は鬼掛け
求めるのは跳ね上げアタリだが、中山キングは魚信があれば何でもアワセる。上述の誘いでリアクションの誘いから速い展開に持ち込んでいく中で、アワセのタイミングは究極まで速まっていく。それこそが中山キングの真骨頂だ。誘いでもステイでも「アタリ」と思えばアワセる。それは目に出る「目感度」のアタリの前の「手感」であることも多い。そのため中山キングの釣りを横で見ていても、いつアタったのか分からないことが多い。
聞けば、穂先に出る前の手感とは荷重変化だったり、微妙な振動であったり、気配のようなものだったりするという。驚くべきは手感で即掛けしたタチウオの多くが頬に鈎掛かりしていたことだ。これは筆者の推察になるが、中山キングはタチウオが真下から喰い付いてくる瞬間の荷重変化を手感で察して即掛けしているのではないか。つまり“跳ね上げアタリ”の瞬間を手感でとらえているのではないか……。そう考えるほか、中山キングの即掛けを説明しようがない。もはやこれは「鬼掛け」なのである。
中山サイズと
即掛けのタナ
小型は激しい動きによく反応するという通説を証明するかのように、中山キングが即掛けで釣るタチウオは小型ばかりだ。大阪湾で「中山サイズ」と言えば小型を指す。中山キングの代名詞でもあり、数釣りトーナメント最強の所以でもある。タナを探る際、中山キングはできるかぎりスピーディーに指示ダナを通過させて、速い動きに反応する小型を探り、反応してきた水深をつかんだら次回はそこから探り効率を高めていく。同時に、ベイト反応があればそのレンジから、タナの上限があれば上限付近から探ることもある。その理由は小型ほど上層にいると考えているため。そして上層で掛けるほど海面までの巻き上げ距離が短いため。さらに小型となれば巻き上げ速度も速くできるためだ。そこに頬掛かりが加われば、最強の数釣りマシーンになるというわけだ。
誘いの次に試すこと
誘いの組み合わせで跳ね上げアタリを求めていくと同時に、テンヤのローテーションも行っていく。中山キングがトーナメントを中心に使用しているテンヤはタングステン製の40号、エサはサンマの切り身を市販のエサ添加剤で加工したものを主に使っている。カラーに関しては基本的には実績と経験から、たとえば薄暮の時間はグロー系、日が上ったらナチュラル系、濁り潮ならチャート系など、季節や時間、数日単位でのトレンド、そして当日の釣れ方を見て替えていくのだが、カラーローテーションの意味合いとしては、アタリの出る誘いを探した次の段階で「さらに速く、多く反応するのではないか」と試すケースになる。
仮にアタリが出ない、釣れていないときに対処する順番としては……
- まずは誘いの強さや距離、組み合わせを変えていく
- テンヤのカラーを変えてみる
- サンマエサからイワシエサを試すという順番で、常に誘い、アクションが優先事項になる。
低活性時の
対処法と追わせ
「追わせの釣りなら、TTフリークのⅯ177がいい感じにはまりますね。ML179までいくとかなり柔らかくて、絶対にバラしたくないときとか、そういう使い分けになります」
低活性時や真冬など、リアクションの誘いで早い展開に持ち込むことができないとき、即掛けにならないときはどうするのか。これは当然ながら「ワンピッチジャーク」、「ストップ・アンド・ゴー」ともにアクションとハンドルを巻く量を小さくしていく。速い展開では1~2回転巻いていたハンドルを1/2、1/4回転、さらには1/8回転と狭くしていく。それにともないロッドアクションも小さくなり、ステイの時間も10~15秒と長くなる。
また、最近の大阪湾ではリアクションの誘いで速い展開になっても、アタリからアワセの段階になると鈎掛かりせず、追わせる必要に迫られる場面が多い。そのようなときは中山キングであっても、状況に応じて追わせの釣りで対処する。追わせるときは初アタリが出たらアワセずにハンドルを1回転させてステイ。その後も小さなアタリが出たらハンドルを巻いて追わせ、アタリを見極めしっかり竿先が引き込まれてからアワセる。このときのアワセどきもタチウオがテンヤの真下から喰い付いている状態。言い換えれば、跳ね上げアタリのスロー版ともいえるだろう。
中山キングが
タチウオテンヤで
一番大切にしていること
この問いに対して中山キングの答えは「ロッド」である。話を少し戻して、リアクションの誘いと速い展開で出るアタリすべてにアワセていく即掛けを思い出してみよう。経験がある人も多いと思うが、中山キングが理想とする“跳ね上げアタリ”を目視してアワセても、空振りしてしまうことが多くないだろうか。原因はいくつかあるが、明らかに大きなウエイトを占めている要因が「ロッド」だ。
硬い竿であってもバット部が荷重を逃すタイプであったり捻れたり、調子によってわずかなタイムラグが生じてタイミングがズレてしまう。もちろん硬すぎてアタリを弾くこともあるから一概に硬い=正義にはならないが、少なくとも即掛けにはテンヤを瞬間的に動かすことができるバットパワーと調子を持つ竿が必要であり、できれば目感も備わっていることが理想になる。さらに話を巻き戻せば、理想のアタリ、速いアタリを出させるには誘いが不可欠となる。中山キングの即掛けはリアクションの誘いを組み合わせ、探り、誰よりもスピーディーに展開させることで成り立っている。
そのためテンヤより、エサよりも中山キングが重要と考えているのが竿なのだ。この竿へのこだわりは、中山キングの即掛けメソッドの根幹を紐解くヒントでもある。たとえば20人が乗り合わせた船上で、中山キングは他の19人にどこで一番大きな差を付けているのか……その答えは、きっと「誘い」ではないか。即掛けで理想とする“跳ね上げアタリ”はもちろん、激シブの中で追わせるための“初アタリ”にしても、アタリを出させる能力がズバ抜けて高いことが中山キングの特徴だ。その中山キングは、高活性時でも低活性時でも「テンヤをしっかり動かし、アタリを出させるにはバットパワーのある竿が必要」と言う。
「最終、自分の腕になるのはロッドですから」。終始、楽しそうに釣果を重ねていた中山キングにとって、果たして、TTフリークはどんな存在になりえたのだろうか。