操作系ビッグベイト
ラフィン250のスライド性能
赤松拓磨
Takuma Akamatsu
ラグゼブランドのルアーデザイナー。アメリカンなスイムベイトをこよなく愛するルアーマニア。ため池の釣りが得意で、プラグの釣りを好む。ホームエリアは兵庫県東播エリア。最近はビッグベイトシーバスやチヌのトップウォーターなど、ソルトゲームにも意欲的。
操作系専用ビッグベイトとして生まれた
ラフィン170
満を持して登場するラフィン250。
これによって、私が構想するラフィンシリーズは完成するのだが、もちろんただのサイズ展開では無い。それぞれのサイズによってアクションの質も変えることで、そのボディサイズを最大限活かした使用が可能なように設計した。
そもそも、ラフィンが属する「操作系ビッグベイト」というジャンルは、これまでのリップ付きのリトリーブで使う系のビッグベイトと、S字系ビッグベイト両方の特性を持つ物が多く、ジャンルとしてはまだ曖昧な所も多い。その意味で言うと、ラフィンは「操作」の一点に絞り切っている所もある。
特にラフィン170はリトリーブしてもアクションをほとんどせず、使った人によっては「巻くとダメなルアー」のイメージを持つかもしれない。外見ではショートリップのようなパーツがあることから、リトリーブでもアクションをするように思うが、あのショートリップは“動かす為”では無く、“動きを止める為”の物だ。操作系ビッグベイトは、アクションミスが少なく、連続でアクションをさせやすいことが重要である。その為にも、動きすぎる事を防ぎ、ルアーをアクションしやすい姿勢に保つ為、適度なブレーキが必要なのだ。
ブレーキ力の大きな大型のリップにしなかった理由としては、リップで動きを無理に制御するアクションでは、ボディの動きが少なくなり、ボディで水を叩く力が小さくなる。それではルアーの遥か下に潜む魚にはアピールが弱く、魚を浮かせられないというのが、私の持論であった。だから適度に水は逃がしながら、上手くボディを制御できる形状のショートリップを考えた。
また、ジョイントの構造をシングルパーツで繋ぐ事で、前後のボディに捻るようなアクションが入りやすくなる。これも強く水を叩く事につながる。このジョイント構造は、操作性の向上にもつながっており、ロッドを振るだけでルアーが簡単に左右へ動いてくれる。
これによって、操作系を苦手と思う人でも、簡単にドッグウォークアクションをすることができるのもラフィンシリーズのコンセプトである。
その高い操作性を活かしたアクションで、ピンスポットを丁寧に探ることが得意なのがラフィン170であり、ため池のような小場所や、ストラクチャー周辺を細かいドッグウォークアクションで刻むように誘うことで、魚をバイトさせることができる。
ロングスライドも
クイックドッグウォークもこなす
ラフィン300
このラフィン170に続いて発売したのが、ラフィン300になるのだが、多く人は「間がない?」と思ったのではないだろうか。実際に開発していた順番でいうと、ラフィン170→ラフィン250→ラフィン300なのだが、ラフィン170で培った経験からラフィン250はすぐに狙ったアクションが出ていた。さらに、最初のプロトを持って淀川の城北ワンドに行った際に55cmのバスが釣れたのだ。
しかし、そこでラフィン250の開発は一旦中断する。その理由は、アクションの性質を若干ではあるが、ラフィン170とは変更したかったからでもあるが、この操作性を保ったまま、どこまでルアーを大きくできるのかと興味が沸いたのである。そんな興味が沸いたのも、GAMAKATSUフックテスターであり、ビッグベイトゲームの常識を破り続ける衣川真吾氏の存在が大きい。共にため池でのバス釣りを楽しむ関係でもあり、その際に衣川氏が隣で投げる400mmクラスのルアーが持つ破壊力を幾度となく見せられた。
ラフィンも400mmクラスの開発も考えたが、先ずは自分が扱える最大のサイズ感であった、300mmクラスから開発をスタートした。300mmクラスのボディでも170のアクション性をそのまま再現できるかが疑問だったが、初期のプロトは簡単に動かす操作性はすぐに再現できた。しかし、大きさ故に動きが大味になり、キレの少ないアクションになっていた。また、300mm以上のボディサイズの割には水押しを最大限生み出せていないとも感じ、このボディサイズで水押しを最大限生み出す為にも、フラット面を大きく設け、アクションのキレを出す為にボディを薄く設計した。
結果的にフラットサイドボディになったことで、アクションのキレも増し、浮力を抑える事にも繋がったので、ウエイトを比較的に軽くすることもできた。ジョイント構造はシングルパーツを継承したかったが、やはりルアー重量的にも強度が足りなかったので、なるべくシングルパーツの動きに近くなる距離感で2つのパーツを配置した。これらのギミックによってラフィン300は、専用タックルを必要とはするものの、ラフィン170と変わらない操作性で作る事ができた。
むしろ、大きなボディが生む推進力とクイックな操作性の相性も良く、大きなスライドアクションから、クイックなドッグウォークアクションまでをこなせるルアーとなったのだ。300mm以上のボディサイズながら、ピンポイントを丁寧に探れ、広くも探れることで、これまでに無いビッグベイトとして、自分にとって大きな武器となった。
スライドアクションを追求した
ラフィン250
「食わせのラフィンラフィン170」「リアクションのラフィン300」として自分の中では完成してしまったのも、ラフィン250の発売を後に回した理由でもある。それでも、ラフィン300を一日使うにはそれなりの忍耐がいる。それは手練れたビッグベイター達も同じで、やはりこのサイズのルアーで一年を通して戦うことは難しく、手頃な250mmクラスの存在は必須であった。また、戦略的にもラフィン300ではバイトに持ち込めない魚も、少しサイズを下げる事でやはりバイトに持ち込めるケースも多かった。
特に東京湾でのボートシーバスを体験した際にそのサイズ感の重要性を感じさせられたことで、ラフィン250の開発に本腰を入れるきっかけになった。
再スタートしたラフィン250の開発は、300並みのインパクトを損なわないまま、170ぐらいの扱いやすさを求めることから始まった。そして、当初からラフィン250はスライドアクションを重視したかった為、ボディ形状から変更することになった。ラフィン170に近いボディ形状だった初期から、やや体高を出した形状にした。ただ、ラフィン300とは違いフラットサイドボディにならないようにある程度の丸みを残したボディ形状にした。ボリュームを損なわず、それでいて操作性を上げる為の形状である。
ジョイントの角度を多少浅くすることでスライド幅を出し、若干の前傾姿勢にすることでレンジを入れやすくなった。そうした違いを出すことで、ラフィン170とラフィン300にはない役割をラフィン250に与えた。
こうして、現代のスタンダードビッグベイトのサイズ感で、扱いやすく、インパクトを出せるラフィン250が完成したのだ。
私個人ではこの3つがあれば、操作系ビッグベイトは成立なのだが、未だに限界を知らないルアーのサイズ感。既に550mmクラスのルアーが市販されていたりと、巨大化の波は止まっておらず、700mmクラスまでは使用している人もいる。実際にラフィンも500mmは試作してみたが、ルアー重量的にもアクション的にも決して使いやすいとは言えないものだった。無理をすれば使えるが、肉体的にもストレスがあるルアーを、精神的にもストレスがある状況で使うのは余りにも難しい。よって、私のビッグベイトは300mmクラスが今のところは限界だと感じている。
もちろん、「今のところ」である。