GAMAKATSU がまかつ

釣り上げた魚を両手に持ち笑顔の赤松 ジュリー5インチ 製品画像 サイトタイトル:舞い踊るフラットサイド『ジョイント』クランク Jully 5inch

赤松拓磨

Takuma Akamatsu

ラグゼブランドのルアーデザイナー。アメリカンなスイムベイトをこよなく愛するルアーマニア。ため池の釣りが得意で、プラグの釣りを好む。ホームエリアは兵庫県東播エリア。最近はビッグベイトシーバスやチヌのトップウォーターなど、ソルトゲームにも意欲的。

生まれた瞬間に完成していた
操作系フラットサイドクランク、ジュリー5インチ

ジュリー5インチの製品画像

 誤解を恐れずに言うと、ジュリーは開発期間を全くかけずに完成したルアーである。1stプロトから理想のアクションといえる仕上がりで、テスト初日にはもう50upのバスが釣れてしまった。

 ただ、ルアー開発は「魚が釣れたら完成」というわけではない。魚が釣れるのは当たり前であり、自分が理想とするアクションを再現性高く実現し、そのアクションが確実に魚に対し有効だと確信してこそ、ルアーは完成する。

 その点から見ても、ジュリーは1stサンプルで既に理想のアクションを高い次元で再現しており、50upを含む多数のバスを釣り上げるに至ったのだ。その後のテストにおいてもジュリーは圧倒的な釣果を叩き出している。

ジュリーを咥えた大型のバス
ジュリーを唇に引っ掛けた大型のバスを両手で持ち、笑顔の赤松

操作系リップレススイムベイト・ラフィンの急所

竿を振り、仕掛けを投入している赤松の後ろ姿

 実はジュリーの構想自体は、操作系のスイムベイトにあたるラフィンシリーズを製作している時には既にあった。ラフィンを製作している際、どうしてもその可能性を捨てきれなかったジャンルがある。それが「リップ付き」の操作系ルアーだ。

 と言うのも、そもそも操作系ビッグベイトと称されるルアーの多くはリップ付きである。

 しかし、リップ付きでは前に水は押せても下には押せない。それが経験から得た持論であり、それを解消するために生み出したのがラフィンだ。リップ付きでは表現できないスライドを伴ったヒラ打ちで水を大きく動かし、下へ打ち付けることで、より深いレンジの魚を呼び、ニュートラルな魚までスイッチを入れることができる。そして、そのアクションを簡単に出すことができる様にしたのが、シングルパーツでのジョイントシステムである。

ルアーで釣り上げた魚を持ち上げ、笑顔の赤松
地面の上に置かれたジュリー5インチ

 シングルパーツのジョイントは可動域が全方向に大きくなり、アクションに自由度を与える。その反面、動き過ぎることがアクションのエラーにつながり、コントロールの難しさとなった。それを制御するために考えたのが、ラフィンの象徴でもある超ショートリップだ。これによって、思いのままに動かしやすく、強い水押しを出せる操作系ルアーとしてラフィンは完成した。

リップの果たす役割と意味

水中を泳ぐように進むルアー 水中を泳ぐように進むルアー

 では、リップ付きの狙いとは何なのか。

 一つはドッグウォークアクションの移動距離にある。リップ付きはブレーキがしっかりとかかることで、スライドする幅がなく、短い距離でより多くのドッグウォークアクションができる。

 さらにジュリーは、ラフィンで培ったシングルパーツでのジョイント構造と、コンパクトながら体高のあるボディにより、リップがあっても軽い操作で簡単にヒラを打つドッグウォークをさせることができ、高速で連続的にアクションすることで、フラットサイドクランクが一点でアクションし続けているかのような、点での誘いができるのだ。

 実際、近年ではフラットサイドクランクをただ巻きするのではなく、「シェイク巻き」などと呼ばれるロッド操作を加え、ヒラ打ちをさせるリトリーブで使う手法がタフな場面で釣れると知られている。

竿を持ち、アタリを待つ赤松の後ろ姿

 中部地方屈指のメジャーフィールドである五三川をホームとする大津氏からも「シェイク巻きで使えるフラットサイドクランクが欲しい」と要望があったのは、ジュリーを開発し始めてすぐのことだった。フラットサイドクランクよりも簡単かつ、高速でヒラ打ちアクションができるジョイント構造のジュリーは大津氏にとっても理想だった。

 ただ、大津氏の理想とするアクションはボディ側面を水面に向けるほど大きく倒れこむヒラ打ちアクションであったため、リップの角度やラインアイの位置をいくつか試すことになった。

高速巻きができるというメリット

リールを操作する赤松の手元

 リップ付きのもう一つの狙いを上げると、それはリトリーブによるアクションである。リップのない操作系スイムベイトはリトリーブをした際に、S字アクションするかアクションが破綻するため、スピードを使ったアクションを入れることが難しい。実際、ラフィン170はリトリーブではほとんどアクションしない。そのため、ロッド操作によるドッグウォークではスイッチが入らず、スピードで追わせて喰わすような技を使う際に対応しきれず、非常に難しい局面があった。

 それがリップがあることでリトリーブで簡単にクランクのようなスピーディーなアクションができる。さらにジュリーはバイブレーション並みの高速リトリーブでもアクションが破綻しないことを目指した。それはストップ&ゴーと呼ばれるような、スピードの緩急を使ったアクションで魚にリアクションバイトさせるためである。

赤松の後ろ姿。その視線の先の水面は波打っている。
水面に浮かぶルアー

 フラットサイドクランクのような、ヒラヒラと泳ぐアクションで水をしっかりと叩き、ジョイント構造とソフトなテールで通常のフラットサイドクランクよりも水を大きく撹拌することでより魚へアピールできる。それをバイブレーション並みのスピードでできれば、強烈に魚のスイッチを入れることができるのだ。

竿を操作する赤松。ルアー仕掛けがある付近からは水飛沫が舞う

アクションの最後のスパイスはテール形状と硬度

水面から突き出た古木2本と、その付近を泳ぐルアー

 しかし、大津氏の要望する大きなヒラ打ちと、高速リトリーブでも安定するアクションは矛盾する。ヒラ打ちを大きくするということは、バランスを崩しやすくすることであり、リトリーブでの安定性は損なわれるのだ。だが、その問題点は、アヴィックで培ったウエイトバランスとテールの形状ですぐに解消することができた。

 大きなヒラ打ちを出すには、水を受けやすいリップ角度とラインアイの位置に設定すれば可動域の大きなジョイント構造と体高の効果もあり、簡単に出すことができた。一方で、リトリーブの安定性を高めるため、ウエイトの重心位置をルアーの中心に設定し、テールはアヴィック同様、水になびくのではなく、しっかりと掴む方向に振ることでボディの暴れを軽減させた。水を掴むテールはドッグウォークアクションの移動距離を押させることにも貢献している。

 こうして、大津氏の要望と私が目指したアクションを再現したジュリーは完成された。

ルアーを唇に引っ掛けた大型のバスを両手で持ち、笑顔の赤松

絡まったフックをアクションが勝手にほどくという
セッティングの妙

天に向かって大きく口を開けたバスと、その上に乗せられたルアーを真上から撮影した写真。

 実は、ジュリーの製作で最も苦戦したのがフックの選定と言っても過言ではない。ドッグウォークや高速リトリーブなど、激しいアクションを加えるジュリーはフックがラインやテールを拾ってエラーになるケースが少なくなかった。しかし、体高のあるフラットサイドボディ故に、フックサイズを小さくするとボディが邪魔をし、フッキングが悪くなった。

 そこで、体高のあるボディでもフッキングの妨げにならないサイズのフック同士が大きく干渉する位置にフックアイを設けた。干渉を大きくすることで、仮にフック同士が絡んだとしてもロックすることなく、アクションの揺れによってほどけやすくすることが狙いである。これによって、フック絡みによるエラーのストレスを軽減している。

竿を操作する赤松

 体高のあるフラットサイドボディと聞けば、多くの人が飛距離に不安を持つと思う。しかし、ジュリーは意外にも安定した飛行姿勢で飛距離を稼ぐことができる。それはシリコン素材のテールによる効果が大きい。アヴィックを製作した時もそうだったが、シリコンは比重が重い素材であることから、キャストした際にボディを先導するウエイトのような役割も果たしている。これによって、本来は不安定な体高のあるボディでも飛行姿勢が安定し、飛距離を稼ぐことができている。

緑に囲まれた中で釣りをする赤松

3種のスイムベイトが
あらゆるシチュエーションをカバーする

ラフィン、アヴィック、ジュリー。3種類のルアーを地面に並べた写真

 ラフィン、アヴィックに続いてジュリーが登場上したことで、私のスイムベイトゲームの構築図は完成された。『ピンスポットを攻めきれる操作性を持つラフィン』『リトリーブで魚をバイトさせる集魚力を持つアヴィック』『操作、リトリーブの両方を兼ね備えながら、更にスピードを最大限使えるジュリー』大袈裟な言い方をすれば、この3種のルアーだけを使い分けることで、1年を通して魚を釣ることが可能である。

製品ラインナップ

ジュリー 5インチ

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