林 賢治
KENJI HAYASHI
海上釣堀、投げ釣り、クロダイのフカセ釣りのスペシャリスト。トーナメンター的アプローチを海上釣堀に導入し、エサローテーションや脈釣り、誘いなど多彩な技で攻略する。釣法に適したロッドの提案から新たな調子の竿が生まれることも多く、竿のセッティング能力には定評がある。
納得いくまでテストを繰り返したコアスペックⅢ
2025年9月。「海上釣堀コアスペックⅢ」の撮影プロトが出来上がったと連絡がきた。コアスペックⅡを発売した直後から次作の構想を練り始めて、最初のプロトが出来上がってきたのは確か2022年だったと記憶している。そして2023年に試作と修正を繰り返して2025年の夏にはGOサインを出した。構想から含めると実に5年以上わたり携わってきたものが製品化されるのは実に感慨深いものである。
シリーズの中核を担う「コアスペック」は、「マリンアロー」からステップアップした中・上級者に満足いただける内容でなければならない。さらに当たり前のことだが次の時代のニーズにも対応させることも求められる。低価格で初心者の扱いやすさを追求した「マリンアローシリーズ」や海上釣堀マスターたちに贈る至高の「アルティメイトシリーズ」とは違った開発の難しさがあった。
以前であればマダイ用と青物用の2種類に近年台頭してきた探り竿を加えた3種類ラインナップすればよかったが、海上釣堀を取り巻く環境も年々変わってきており、釣り方やターゲットにより専門性が求められるようになってきたのだ。
最先端の海上釣堀シーンをリードするための
8モデル展開
初代コアスペックは、マダイ用のMタイプと青物用のHタイプの2機種でそれぞれに長さ違いがラインナップされたにすぎない。そしてコアスペックⅡにおいては従来の設計を見直しカーボンを細身肉厚に巻き上げて、今までにないデザインと粘りを演出し、流行りの探り釣りにも対応したモデルを追加した。さらに4.5mという長尺の青物竿をラインナップに加えて、イケスの中央をミャク(探り)釣りでダイレクトに狙うという釣り方も提案させてもらった。
コアスペックⅢは、どのように深化したかといえば、細身肉厚の設計はそのままにより細分化された釣りに対応するべくラインナップの見直しが行われた。
流行りの探り釣りにおいては、主流といえるマダイ狙いの「さぐり300」に加え、青物用の「さぐり青物350・450」さらに並継タイプの「B270」と一気に4モデルに増やし、ウキ釣り用の竿には「真鯛350」「青物350・400」さらに並継タイプの「S270」とこちらも4モデルとした。
探り釣りとウキ釣りというジャンルで竿を分け、コアスペックⅡの時よりも1モデル増やした8モデルの展開となっている。
釣り開始は脈釣り用さぐり300でスタート
2025年10月中旬。この8本の竿を携えて向かったのは三重県南伊勢町にある海上釣堀「辨屋」。土日はもちろん平日でもしばしば満員御礼となる大人気の海上釣堀だ。ここで2日間にわたり撮影をおこなった。その時の模様を含めてそれぞれの竿の使いどころや特性、フィーリングなどを紹介していきたい。
最初に使った竿は、動画などで何度も紹介しているが始めは手前から探って徐々に探るエリアを広げていくという釣り方を実践しているので、「さぐり300」を手に取った。
オーソドックスなミャク釣り専用ロッドでネット際やカドに集まるマダイやイサキ、シマアジがメインターゲットになる。このミャク釣りも以前より軽いオモリやノーシンカーといった釣り方が主流となってきているため、より繊細な釣りに対応できるよう先径0.85mmの柔軟性のあるグラスソリッドを搭載している。
まずは足下の右角から攻めるが魚の反応はない。竿下付近にシマアジが数匹見えたので、すぐに狙いを変えてゆっくりと黄色いネリエを落とし込むと、スーッと寄って来たと思った瞬間ネリエが視界から消えた。反射的にアワせるとバッチリとフッキングした。短い竿はサイトフィッシングにはもってこいである。その後、左の角を狙うと深いタナでマダイやイサキが連発。繊細で柔軟なグラスソリッドは竿先を白く塗布してあるのでアタリは良く分かる。
カーボンソリッドのようにピンシャンとした張りが抑えられているので、魚がエサを咥えても違和感を与えにくい。そのため小さなアタリで掛けアワせていくよりも、アタリを捉えたら少し聞くように持ち上げ、そのまま竿先にテンションが掛かるようなアワセを入れる「乗せアワセ」で釣ると掛け損ねを減らすことができる。
さぐり調子に青物用が登場
際釣りを楽しんでいると同じイケスの仲間が青物を掛けた。これを見てすかさず手にしたのが「さぐり青物450」だ。掛けた青物の後ろには数匹追いかけているのが見える。青物のスイッチが入ったと確信して、カツオの切り身をセットして取り込まれるのを待ってすぐに投入した。
竿が長いことのメリットはダイレクトにイケスの中央を狙えることのほかにもう一つある。それは素早くタナまで仕掛を到達できること。竿が長い分、最初から出してある仕掛の長さがまず長い。また、投入と同時にササッとリールから糸を引き出す回数も少なくてすみ、あっという間にタナに到達できる。比べてみるとわかるが、短い竿のように何度も何度も糸を引き出す動作を必要としないため、エサをタナに入れるまでのスピードが速くなる。
その分、ヒット率が格段に上がってくる。このときも投入直後にリールから糸を引き出し、余分なテンションを掛けずにエサを落とし込むとすぐに青物がヒットした。フォール中のエサをひったくるように喰ってきたので向うアワセで掛かったが、こういうときは得てして鈎掛かりが甘い場合が多いため、しっかりと追いアワセをくれてやる。
長竿のヤリトリは竿尻を腰に当てて竿の♯3に魚の重みを乗せるようにしてやる。そうすると魚は嫌でも竿の太い部分を曲げざるをえないので、タメているだけで勝手に魚が弱ってくる。いわゆる竿に仕事をさせるというやつだ。このタイミングで上手くリレー釣りが出来て青物を3本釣ることができた。
「さぐり青物」の特徴としてはスピニング、ベイト兼用で使うことを想定してトリガーの無いリールシートを採用しているが、ガイドバランスを見直して今までのスピニング仕様よりもガイド数を増やしてベイトでもより使いやすくなっている。そして竿先もやや太いグラスソリッドの1.0mmを使うことにより、アジやウグイなどの活きエサや大きなエサでもコントロールしやすくなっている。
イケス中央狙いのウキ釣りには真鯛350
青物が一服したので次は「真鯛350」を用いてウキ釣りで狙ってみる。この竿は釣り堀竿の中では一番のオールラウンダーと言っても過言はない。名前は真鯛となっているが中型の青物くらいなら十分に対応できるパワーは持っているうえ、ウキ釣りはもちろん1.2mmのグラスソリッドの竿先のため専用竿ほどではないがミャク釣りもこなす。
青物が一服したので次は「真鯛350」を用いてウキ釣りで狙ってみる。この竿は釣り堀竿の中では一番のオールラウンダーと言っても過言はない。名前は真鯛となっているが中型の青物くらいなら十分に対応できるパワーは持っているうえ、ウキ釣りはもちろん1.2㎜のグラスソリッドの竿先のため専用竿ほどではないがミャク釣りもこなす。
また3.5mという長さは、少々長いウキを使っても既製品の1mや1.5mといったハリス付鈎を容易に扱うことができる。
喰いが落ち着いている時間帯なので、1mのハリスが付いたケイムラ伊勢尼の10号にシラサを2匹チョン掛けにしてイケスの中央付近に振り込んだ。仕掛が馴染むとロングストロークの誘いを入れ、喰わせる間を作るとすぐにアタリが出た。ウキのメモリを1目盛りほど押さえる小さなアタリに間髪入れずアワセを入れるとマダイがヒットした。この竿もしっかりと胴を曲げてやれば竿が勝手に仕事をして、マダイは容易に浮き上がってくる。
ネット際や角をタイトに探れるさぐりモデルB270
中央付近でマダイやシマアジを数匹追加すると再びアタリが遠退いてしまったので、竿を並継の「B270」に持ち替えた。
2.7mという長さはイケスの角やネット際を狙うのにはうってつけの長さと言える。釣れなくなったらエサをローテーションするだけでなく、ポイントや釣り方を変えてみるのも常套手段だ。
両軸リール仕様の「B270」は並継ロッドのため振り出し竿以上に細身に作ることができるうえにガイドセッティングも自由度が増す。そこで用いたのが上位機種の「アルティメイトスペック攻めさぐりB330」で採用したスパイラルガイドセッティングだ。竿先の糸絡みを軽減できるガイドセッティングのため、フロロやナイロンラインよりも高感度のPEラインが扱いやすくなるのだ。
先ほどマダイとイサキが連発した左角のよりキワキワを探ると、ポイントを少し休ませた甲斐もあって再びマダイとイサキが連発する。「さぐり300」と同じ性質の竿先を搭載しているので先ほど同様乗せアワセで掛ける。
さぐり青物450でカンパチが潜む
イケス中央の底に餌を止める
そして初日の終盤が近づくと一緒に竿を出している仲間たちの釣果を見ても放流されたカンパチが釣られていないことに気付いた。これはワンチャンスあるのではと「さぐり青物450」を使って、イケス中央付近のベタ底にウグイを泳がせた。鈎上10cmくらいに5号のオモリをセットして中央付近からあまり動かないように仕向けてやる。すると読みどおりカンパチがヒットした。
泳がせ釣りだからウキ釣りで狙ってもいいのでは?とも思えるが、ウキ釣りだとエサが泳ぎ回りすぎて1ヵ所に留めておくことができない。そのためあまり泳ぎ回らないようにミャク釣りで狙うのも一つの手だ。
このカンパチを取り込んで終了時間も近づいたので1日目の釣りを終えた。
脈釣りのメリットとウキ釣りのメリット、
その使い分け
2日目も狙い方は同じ。まずは手前から釣っていくため手にしたのは並継の「B270」。しかしカドや際を探るがあまり反応はない。試しにオモリを外してノーシンカーでイケスの中央付近にエサを投入して落とし込むと、4~5mくらいの深さでマダイがひったくっていった。かなりマダイは浮いていて、こんなときは大釣りのチャンスである。ただポイントが中央付近ということもあって短い竿では釣りにくい。
そこで選んだのは「さぐり青物350」。マダイ狙いには少々オーバーパワーの竿だが、釣れているときなら、ハリスを少々太くしても喰ってくるし、勝負を早めて数を稼ぐにはピッタリだ。狙いどおり中央の浅いタナでマダイが連発する。続けざまに5~6匹釣ったところで高活性のマダイは釣り切ったようで浅いタナではアタリが無くなり、宙層でアタリがないままエサが竿下まで来るととんとアタリが出ない。どうやら今日の魚は中央より先に集まっているようだ。
そんな時はウキ釣りに分があるので並継の「S270」を使ってみる。この竿はスピニング仕様で竿先は張りを持たせたチューブラーとなっているため、竿が短くウキ釣りで小刻みに誘いを掛けるような釣りに向いている。
小刻みな誘いには、ハリスは少し短い(50~70cm)方がエサにアクションを付けやすい。シラサを付けて中央に放り込み、仕掛が馴染んだら竿先を小刻みに数回動かし止めて、再びエサが馴染んだら5~10秒ほど置くとアタリが出る。喰いが渋っているときはアタリが小さい。ウキのメモリが半分や1メモリ沈む程度でこれを反射的に掛けアワせていく。掛けた後はしっかりと竿の胴に魚が乗る調子だが、長竿のようにタメていればオートマチックに上がってくるわけではない。竿の操作性がいいので、魚と引っ張りっこをするのではなく、動きに合わせて魚の頭を竿先で引くようなイメージでヤリトリしてやると速く上がってくる。この釣り方でマダイとシマアジを数匹釣ったところで青物の放流タイムとなった。
パワーでブリを制する青物350青物400
放流直後は最大のチャンスといってよく、「青物350・400」の出番である。「青物400」には泳がせ仕掛。「青物350」にはオーソドックスなウキ釣り仕掛を準備した。
「青物350・400」はウキ釣りで青物を狙うモデルのため、太糸使いを想定して大口径のKWガイドを採用している。そのためウキ止めやラインの抜けが非常によく、ストレスなく糸の出し入れができる。
まず「青物400」にカツオの切り身と活きたアジを刺して、切り身の臭いとアジの動きの相乗効果を期待した作戦だ。仕掛が馴染むとアジが暴れ回っているので、タナは間違いない。次の瞬間、ウキがズボーッと沈んだのでアワセを入れたが空振り。回収するとアジは無傷でカツオの切り身だけしっかり取られていた。
掛が有利である。すぐにカツオをの切り身を刺して投入すると、仕掛が馴染んですぐにウキを消し込むアタリが入った。してやったりとほくそ笑んだが魚の引きにパワーがない。10キロの青物にも対応する竿だけにすんなりと上がってきたのはマダイ。すぐに取り込んでまたカツオを付けて投入するとまたもやマダイ。どうやら青物の時合は一瞬で終わってしまい、マダイのスイッチが入ってしまったようだ。すでにマダイは10匹以上釣っているので、もうマダイはいらないと、キビナゴやイワシなど青物が好みそうなエサを使ってマダイを避けるように狙うが、どれもことごとくマダイが喰ってしまう。
しかし、アジを泳がせると今度は全く反応がないのだ。プロトのテストでは何本も青物を釣っているので何とか撮影でもしっかりと釣りたい。青物竿だけにマダイで竿が曲がっても物足りない。
さぐり青物450が得意な事、 青物350が得意な事
マダイの活性は高いが一旦中央付近を休ませる意味で、反応の悪かった足元を「B270」にダイレクトボールの1gを使いイソメエサでチョンチョンと底付近を探ってみると、小さなアタリがあり、魚が「エサを咥えていますか?」っと聞くように乗せアワセをするとここもマダイだ。その後も角にイサキがいないかと探ってみるも…。
残り1時間を切り、どうにか青物を釣りたい。「青物350・400」を使いウキ釣りで狙ってみたが全く反応がない。ウキ釣りだとタナを探すのにいちいちウキ止めをずらすので時間のロスが大きい。そこで青物のいるタナだけでも探すには、ミャク釣りで活きエサの暴れる位置を見つけるのが手っ取り早い。「さぐり青物450」にウグイをセットして投入すると、なんと着水と同時にワラサがガブリ。
ヤリトリをしていると掛かったワラサの後ろには2~3匹のワラサが付いている。これが正真正銘のラストチャンスと言わんばかりに取り込んで、竿を「青物350」に持ち替えて追加を狙うも時合は短く最後のドラマはなく終了となった。
海上釣り堀では、しばしば「エサローテーション」という言葉が使われるが、近年では釣り方が細分化され、時合により竿や仕掛もローテーションするのが一般化してきている。構想からプロトを経て何十時間もの試釣を繰り返し、生まれ変わった「海上釣堀コアスペックⅢ」は、より実践的な仕様にバージョンアップし様々な釣法にも十分対応できるラインナップとなっている。

