GAMAKATSU

極泳がせ 100
極泳がせ 100 竿画像

廣岡保貴 写真

tester │ Yasutaka Hirooka

実釣Impression

in日高川

ひろおか・やすたか 日高川龍神で生まれ育ち子供のころから鮎釣りに親しむ。繊細な泳がせ釣りを得意とし、警戒心がマックスの渇水期にカミ飛ばしで野鮎を連発させる様は圧巻。

より遠くが釣れる10mのアドバンテージ
警戒心が強い渇水期の野鮎を手玉に取る

がま鮎競技スペシャルV8極泳がせで廣岡保貴が和歌山県日高川・龍神を攻める

がま鮎競技スペシャルV8極泳がせで
廣岡保貴が和歌山県日高川・龍神を攻める

誰もが攻めやすい川相だからプレッシャーは半端じゃない!

誰もが攻めやすい川相だから
プレッシャーは半端じゃない!

 和歌山県の最高峰龍神岳に源を発し県中部の御坊市で太平洋に注ぐ日高川は、延長115kmの日本一長い二級河川だ。鮎の名川として全国に知られ、県内外から訪れる人も多い。釣り場は椿山ダムを境に上下流に分かれ、龍神地区と呼ばれるダム上流域は、美しい水が育む美味しい鮎が釣れるとあって人気が高く県内外から多くの釣り人が訪れる。ただ、河原は広いものの川幅が狭く、だれもが攻めやすいことから野鮎にかかるプレッシャーは半端なく、渇水ともなればなおのこと、ポイント選びとアプローチを誤れば地獄を見ることになる。
 そんな龍神の名手廣岡保貴が、竿を出したのは渇水が続く8月末のこと。

がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100

「荒瀬や段々瀬みたいなところは垢が腐ってナワバリ鮎が付きにくい。トロ場やチャラ瀬がいいんですが、龍神の場合、砂利が多くて普段は狙わないようなところにナワバリ鮎が多いんですよ」
そんな条件を満たす北浦製作所裏に入った。

がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100

「荒瀬や段々瀬みたいなところは垢が腐ってナワバリ鮎が付きにくい。トロ場やチャラ瀬がいいんですが、龍神の場合、砂利が多くて普段は狙わないようなところにナワバリ鮎が多いんですよ」
そんな条件を満たす北浦製作所裏に入った。

廣岡保貴×がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100 廣岡保貴×がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100

9mかと思うくらいの細さと軽さ
18m先までが射程範囲に

9mかと思うくらいの細さと軽さ 18m先までが射程範囲に

「渇水期の鮎はめちゃくちゃ警戒心が強くて曳舟を置いただけで、その前の鮎は全部逃げてしまう。下流へ釣り下ると野鮎を追い散らかしてしまうので釣れません。野鮎に気付かれないようにできるだけ離れたシモから上流へオトリを泳がせるカミ飛ばしで釣り上がっていくのが釣果を伸ばすコツです」
そう話す廣岡の手に握られているのが、NEWウエポン「がま鮎競技スペシャルV8極泳がせ100」だ。

がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100

「M40Xをブランクスに採用し最新の技術を使うことで10mとは思えない軽さと操作性を実現しています。縮めた状態で黙って渡されたら9mかと思うくらいに細くて軽いでしょ。伸ばしてみるとシャキッとした張りがありながらも穂先はしなやかで操作性は抜群ですよ」
カミ飛ばしでは、竿と糸との角度がなくなって突っ張ると掛からないため、その手前までが勝負エリア。竿が9m、仕掛けも9mだとすれば射程範囲は15〜16m。竿が10mになると18m先まで野鮎が掛かるいい状態でオトリを泳がせることができる。
「9mでは一番釣りたいところで物足りないことがあったんですが、10mになることで余裕があります。周りの人が届かない先の鮎が獲れますよ」
 近年は瀬釣りも泳がせも水中糸は複合メタルという人が少なくないが「ふわっとした自然な泳ぎはやっぱりフロロ」ということで20cmオーバーが主体となるため、0.2号をセレクト。中軸設計ながら掛かりの早い快の6.5号4本イカリをセットした。

釣り荒れしやすいチャラ瀬
狙いは瀬肩からカミの“鏡”

がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100

「チャラ瀬は誰もが狙うポイントなので、釣り荒れていることが多いんですよ。瀬肩からカミの鏡になったところ(トロ場)が竿抜けになりやすいですね」
 迷うことなくトロ場の右岸からカミに向けてオトリを送り出した。
水中糸が受ける水の抵抗でオトリを泳がせるため、カギとなるのがラインテンション。テンションを緩めることでハナカンの上に糸フケ(オバセ)ができ、この部分が受ける水の抵抗に逆らってオトリは泳いでいく。泳ぎが止まれば糸を張ってオトリに刺激を与えて泳ぎ出すきっかけを与え、動き出せばさっと緩める。

「感度がよくて竿先が軽いので、細かいライン操作がやりやすい。10mとは思えない操作感ですよ」
 この日は天然オトリでのスタートだから、スルスルスルっとカミに向いて泳ぐのかと思いきや、なかなかどうして、沖へ向けて少しずつ動くだけだ。
「あがらんな」とつぶやきながらもラインを少し張っては緩めてカミへあがれのサインを送る。ここががまんのしどころで、無理に鼻先を引っ張るとますます泳がず、オトリを弱らせてしまう。5分ほどしてようやくカミへ上りだした。

がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100
廣岡保貴×がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100 廣岡保貴×がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100

オトリが弱らないしなやかな穂先
何回さしかえしても元気に泳ぐ

がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100

 竿を拝むよう立てて構え、テンションを緩めて泳がせていく。射程範囲の18m上ったところでオトリを引き戻し沖に筋をズラして再度カミへと泳がせていく。
「硬い竿だとオトリを引き戻すときに、いやいやをしたり水面を割ったりして弱ってしまい、2回ぐらい繰り返すと上らなくなりますが、極泳がせはしなやかな竿先でオトリが水の中を素直についてくるので、オトリが弱りにくく、ぱっと糸を緩めればすぐに上り出します。何回さしかえしてもオトリは元気ですね。飛び付き鮎がいっぱいいるときは、コースを変えようと引いてる最中に掛かることがありますよ」
 最初の立ち位置から沖へ筋を変えて数回カミに泳がせた後、手前の筋に引き戻して、今度は18m上る前に2mほど上流へ立ち位置を動かした。これまでよりもさらにカミへとオトリが泳いだ瞬間、目印がシューッと走る。ゆっくりと慎重に取り込んだのは20cmクラスだ。

がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100

「最初のオトリが替わったときに気を付けるのは雑に扱わないことなんです。これを弱らせては元も子もありませんからね」
 とはいえ難しいことをするのではない。やさしくつかんで必ず水の中でできるだけ素早く交換する。それを意識するだけでオトリは弱らない。いかなるテクニックも元気に泳ぐオトリにはかなわないのだ。

がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100

 また釣り始めは養殖オトリを使うことが多く、養殖は泳ぎが悪いからと波立ちでオトリを替えるのが一般的だが、廣岡はいう。
「養殖は群れ鮎にまじろうとする習性があります。コンディションのいい養殖なら、最初からトロ場で泳がせると群れを見つけて泳いでいって野鮎を掛けてくれますよ」
 覚えておいて損はない話だろう。

シーズン後半に増えてくる
下る習性の出たオトリをあがらせる

シーズン後半に増えてくる下る習性の出たオトリをあがらせる

 2尾、3尾と鮎が掛かりエンジン全開かと思われたが3尾目がくせ者だった。まっ黄色なナワバリ鮎だったにもかかわらず、オトリにすると一目散にシモへ下っていってしまった。竿を立てて糸を緩めようが軽く引こうが一向に上らずシモへシモへ行こうとする。すると廣岡は、ベタ竿にして強引に引き上げたのだ。

がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100

そして釣り座の前にオトリがきたところで竿を立てて糸を緩めると、スルスルスルーと泳ぎだしたではないか。助走をつけてそのまま走らせるような感じだ。
「盛期の鮎は素直にカミに上りますが、シーズン後半になってくると下ろう下ろうとする魚が出てきます。お腹に卵を持ち出すと特にそうですね。こんなときはいまやったみたいに強引に引いてから緩めてやると泳ぐことがある。しなやかな穂先だからオトリが水の中をついてくるのでやりやすいですね。これでも泳がない場合はオトリを交換します。鏡になったところは元気にオトリが泳いでいってくれないと99%掛かりませんからね」
 カミへ向かって泳ぎ出せばやはり野鮎は反応する。しかしハリに掛からずケラレてしまった。いつもうまくいくとは限らないのが鮎釣り。それだからこそ面白いしアツくなる。

廣岡保貴×がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100 廣岡保貴×がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100

一流し目にしかできない泳ぎと
それにしか反応しない野鮎

一流し目にしかできない泳ぎとそれにしか反応しない野鮎

 ハリとオトリを替えて釣りを再開。少しカミのヨレに入ったところで目印が吹っ飛ぶ。闘争心をむき出しにした野鮎のアタリは強烈だ。それをオトリにするとすぐにヒット。その後も出し掛かりの連発が続く。これぞカミ飛ばしの威力だ。
「オトリが替わって一流し目が特に大事ですね。一流し目にしかできない泳ぎがあって、それでしか掛からない鮎がいる。変に操作はせず自然に底を泳がせるだけですけどね」
 そのためにもオトリを優しく扱うことはいうまでもない。
 さて、カミ飛ばしをするときに、オトリがうまく上流へ泳ぎ出さないと悩まれる方がおられるだろう。その対策だが、基本となるのはオトリの頭をしっかり上流へ向けて放すこと。オトリが元気なら、それで上っていくが、泳ぎが悪いときは穂先からハナカンまでの糸を張り少し穂先が曲がった状態でオトリを放すと鼻先を引かれて助走がつく。すぐに糸を緩めてオバセを出すとそのまま上っていくことが多いと廣岡はいう。ただし泳ぎだしたあとのオバセには注意が必要。あまり大きく出しすぎると掛けバリが水中糸を拾ってエビになるからだ。

がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100

 また、上らないからといって竿を倒してオトリを引き誘導しようとするのは逆効果。オバセがなくなるとオトリは止まってしまい泳がない。そんなときこそ竿を立てて優しく張って緩めてオトリが泳ぎ出すのを待つのが正解だ。元気なオトリがいれば交換するのも一手だが、釣り開始時に見たようにそうでなければ5分ほど待つことは珍しくない。そしてオトリが泳ぎ出せば、その状態のオバセをキープして上らせていく。背後から姿を現すオトリに無警戒の野鮎が強烈なアタックを見せるはずだ。

人が届かない先の一番鮎が獲れる
さらなる可能性に期待が膨らむ

 上流へ上流へと釣り上がり、コンスタントに掛けていく。すぐ手前で掛かることもあれば、目一杯カミまで上ったところで掛かる鮎もいて「9mの竿だとあそこまで行く前に竿が突っ張って釣れへんねんけど、10mの竿やから釣れた魚やね。ナイス背掛かり。楽しくなってきたよ」と廣岡もご満悦。
「極泳がせは10mの長さがあるのでのされにくくパワーも上がっています。タメが効いてぐいぐい寄せてくるし抜きも楽に決まりますね」
 遠くのカミが狙えるだけでなく、沖へ探れる範囲が広がることも10mのメリット。上流いっぱいにオトリを泳がせたあと、竿を沖へ倒しながら下流に引くと、オトリは沖へ出ながら戻ってくる。沖へ倒す角度が浅ければ立ち位置の近くに、深くすれば遠くになる。そして糸を緩めるとその筋を上り始める。カミ飛ばしでは、こうして手前から沖へと探っていくのだが、竿が長くなれば同じ立ち位置からより遠くが狙える。釣り座を移動する音だけで逃げてしまう野鮎を驚かさずに攻略範囲が広くなるアドバンテージはとても大きい。こうして手前から沖へ一通り探ったあと、上流へ数m上がり同様に探ると釣りこぼしがなく数が拾える。

がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100

 10mのメリットはそれだけではない。 「龍神は高水のときに岩盤が絶好のポイントになるんですけど、9mの竿だと立ち込んでも届かないことがけっこうあるんですよ。10mだとそれが届く。これはほかのポイントにも当てはまりますが、皆が使う9mの竿では獲れない一番鮎が獲れるのも大きなメリットですね。大河川に行っても無理に立ち込まず安全に釣れるし、トーナメントでも10mの竿を使う人はいないので、大きな武器になってくれると思います」
 歴代のがま鮎10mの中で一番軽くて一番使いやすいのが競技スペシャルV8極泳がせだという廣岡。
「細かな操作という点は短竿に譲りますが、それを補ってあまりあるメリットがある。これからもっともっと使い込んで色々な可能性を探ってみたい。めちゃくちゃ楽しみな竿ですね」
 そんな話をしながらも次から次へと鮎を引き抜いていくのだった。

がま鮎競技スペシャルV8 極泳がせ 100