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がま投ULTIMATE SPEC - 『究極』を更に洗練したエキスパート仕様。先進素材&工法による35号が生み出すキス釣りの新たな可能性 がま投ULTIMATE SPEC - 『究極』を更に洗練したエキスパート仕様。先進素材&工法による35号が生み出すキス釣りの新たな可能性

がま投アルティメイトスペック 竿画像

「究極」の投げ竿『がま投 アルティメイトスペック』とは

先進のマテリアルと工法を駆使し、遠投性能とともにキャストフィールや感度など投げ釣りの実釣において重視される性能を追求した〝究極の投げ竿『がま投 アルティメイトスペック』〟に35号モデルが追加ラインナップされた。さらなる遠投性やトレースの安定性など、1匹を積み重ねることに重きをおいたキス釣りのトーナメントシーンも見据えた玄人モデルといえる仕様の特徴について迫ってみたい。

がま投 アルティメイトスペックの「特徴」と「優位性」

がまかつ独自の超細身肉厚設計&先短設計を採用して〝究極の投げ竿〟として2023年初頭にデビューした『がま投 アルティメイトスペック』。先進のマテリアルを採用してテーパーや長さなど細部に至るまで最適化を図ったブランク、号数ごとにベストなセッティングを突き詰めたガイドなど、シロギス狙いを中心とした投げ釣りにおいて重視される飛距離を追求するとともに、キャストフィールや感度などの実釣にこだわった性能を高次元で融合した新しいコンセプトの投げ釣りロッドである。

素材・設計ともに〝究極〟にふさわしいこだわりようで、投げ釣りをより深く楽しみたいアングラーにとっては満足のいく仕上がりになっている。そんなコアなファンを納得させる仕上がりを見せる次世代ロッドに、このたび35号が追加ラインナップされた。コンセプトの1つである「飛距離の追求」をさらに突き詰めた格好の35号が追加されることで、はるか沖に広がる竿抜けへアプローチが可能になり、釣果アップの期待が高まった。例えば、トーナメントシーンのように、他のアングラーと競う釣りにおいては優位性をより感じられるだろう。もっとも、しっかりとした張りを持つ高強度高弾性カーボンを用いた35号を誰もが振り抜けるかというと、そうではないかもしれない。いわば玄人モデルのトーナメント仕様といえるスペックを新たに展開するところに、投げ釣りに対するがまかつの本気度が感じられるだろうか?

砂浜から竿を振り、仕掛けを投げ込む矢野の背中

群れを捉えることが釣果に直結するキスの引き釣りでは、サーチできるエリアが広いほど有利。その点において遠投力を備えたロッドの優位性は大きい。

右手に竿、左手に7匹のキスが掛かったハリスの末端近くを持ち、満面の笑顔を見せる矢野

キャストフィールや感度などの実釣面における優位性を実感できる『がま投 アルティメイトスペック』。キスの引き釣りをはじめ投げ釣りの魅力を追求したいキャスターには最適な1本だといえる。

まずは『がま投 アルティメイトスペック』の
素材や特徴について改めてチェックしてみよう。

Features 01

先進のカーボンマテリアルを採用した
超細身肉厚設計

高弾性でありながら強度のある先進のカーボンマテリアル「TORAYCA® M40X」と、ネジレに対する剛性を強化するPCS(パワークロスシステム)の融合により、張り・強さ・粘りを保持したまま細身モデルとして高い人気を誇った『がま投 アルテイシア』よりも元径で約1mmスリムな超細身のブランクを実現している。それによって風切り抵抗が低減し、スイングスピードの向上による飛距離アップが期待できる。

砂浜に置かれた、アルティメイトスペック35号の元竿部分

張りの強いモデルの35号ながらもシルエットは細身。これによってキャスト時の風切り抵抗が低減し、遠投力へと繋がるスイングスピードの向上が期待できる。

がま投アルティメイトスペック 竿画像

また、飛距離の向上に関しては、高弾性カーボンマテリアルが有する高い復元力によってももたらされる。竿にかかったオモリの加重をしっかりと反発するという特性を生かしたキャストができればこれまで狙えなかったポイントが視野に入り、釣果アップという結果が自ずとついてくる。

この他、TORAYCA® M40Xは外部からの微細な力に対しても鋭敏に反発する特性を持つことから、小さなアタリはもちろんのこと、ポイントとなりうる地形の変化をつぶさに伝えるという特性を持ち合わせている。その高感度性能も『がま投 アルティメイトスペック』の大きな魅力の1つといえる。

矢野の持つ、アルティメイトスペック35号の穂先にピントを合わせた写真

マテリアルやガイドなど、熟慮されたセッティングから生まれる感度はハイレベル。地形のわずかな変化も感じることができる。

竿を振り抜く寸前の矢野と、後方に弧を描いている竿

「強風時も問題無く遠投可能です」 高い反発力がもたらす振り抜けのよさは強風時も不変。悪条件においても遠投ができるポテンシャルの高さを有している。

Features 02

ロング化した全長4.1mのメリット

先進のマテリアルによる細身化によって振り抜き性能が向上したことにより、近ごろの投げ竿の主流といえる全長の4.05mから4.1mへと全長が5cm伸びたのも特徴の1つ。ロング化によって増すオモリの遠心力によってアップする飛距離の恩恵を4.05mと同等のキャストフィールで得られるのは大きなメリットといえる。

竿を振り抜く寸前の矢野

「アルテイシアと同じ感覚で投げられる」と矢野さんが言うように、プラス5cmを感じずに従来通りの感覚で投げられるのは振り抜けのよさを生む細身化によってもたらされた利点の1つだ。

がま投アルティメイトスペック 竿画像
Features 03

遠投力を高めるための先短設計

釣り竿では各ピースがほぼ同じ長さに設定されるのが一般的だが、飛距離に対して妥協がない『がま投 アルティメイトスペック』はこの部分においてもストイック。遠投力を生むために最も反発力が生まれる胴部分にオモリのウエイトが乗ることを考慮し、3つあるピースそれぞれの長さを変えるとともに1番を最も短くした不等長先短設計を採用している。

【参考データ】

アルテイシア…1番:1400mm/2番:1425mm/3番:1420mm

アルティメイトスペック…1番:1335mm/2番:1435mm/3番:1525mm

沖に投げ込んだ仕掛けを確認しつつ、リールを巻く矢野

アルテイシアと比べて3番の長さは約10cmプラス。それに対して1番の長さは7cmほど短くなっている。反発力を最も生む胴部分にオモリのウエイトが乗りやすいことを優先的に考えられたこの先短設計も遠投力の向上に大きく寄与している。

がま投アルティメイトスペック 竿画像
可変バランサーウエイト パーツ画像

この他、飛距離と感度を追求した小径ガイドセッティング、生み出す遠心力の調整が可能な可変バランサーウエイトなど、〝究極〟にふさわしく細部に至るまでこだわりが詰まった投げ竿となっている。飛距離はもちろん、数値化できない投げやすさや感度、釣り心地など、実釣にこだわった性能を高次元で融合して登場した『がま投 アルティメイトスペック』のコンセプトは、発売以降から高いレベルを求めるキャスターから高い支持を得ている。

新たにラインナップされた
35号の「特徴」と「優位性」

以上のように、手にするだけで気持ちが高ぶるほど際立つ特性を備えた『がま投 アルティメイトスペック』に、よりいっそう際立つ仕様の35号が追加ラインアップされたのは前述の通り。その目的は「さらなる遠投力」。反発力の強い高弾性素材を用いた35号とあって張りはかなり強い。使い手を選ぶ仕様ながらもうまく扱いこなすことができれば、トーナメントシーンをはじめとした竿抜けのサーチが重要視される状況において特に大きなアドバンテージとなることは確かだろう。

そんな競技仕様ともいえる35号の使用感について語ってくれたのは徳島県の海岸をホームグラウンドにしている、がまかつフィールドテスターの矢野勝彦さん。全国の腕利きが集う「G杯全日本がま投(キス)選手権」で優勝するなどトーナメントにも精通するキスの引き釣りをはじめとした投げ釣りのエキスパートである。

右手に竿、左手に8匹のキスが掛かったハリスの末端近くを持ち、笑顔を見せる矢野

撮影当日は徳島県の里浦海岸を中心に、矢野さんのホームグランドで実釣。35号の遠投力を生かして竿抜けをとらえることで、数はもちろん良型のキスの姿を見ることができた。

竿・クーラーボックスなどを持ち、砂浜を移動する矢野

細部まで考慮されたバランス設計によって35号とは思えない軽量感を実現。群れを求めて移動が必要な状況でもテンポ良く軽快に探ることが可能だ。

「とにかく軽く感じるのがいいですよね。持ち重りがないぶん座らずに手持ちで釣ることも多くなりましたよ。この新たな号数も35号を思わせない軽量感がありますね」

矢野さんが真っ先に口にしたのは、すでに使い込んでいる『がま投 アルティメイトスペック』の持ち重りの小ささについてだった。
実際の数値でいうと、細身ながらもカーボンマテリアルの肉厚化によって張り・強さ・粘りを実現しているアルティメイトスペックは実はアルテイシアよりも重量が増している。しかし、前述した先短設計や小口径ガイドのセッティングをはじめ、細部にいたるバランスを突き詰めたことによって感覚的な軽さは大きく向上しているとのこと。

釣り上げたキスを鈎から外している矢野。体で固定した竿は湾曲せず、斜め上の天に向かって真っ直ぐ伸びている。

シャキッとした調子とあって竿全体がブレにくく、掛かったキスをハリから外す際や、餌付け時にラインが穂先へ絡むトラブルが少ないという特徴もある。

トーナメントシーンにおける軽量感は移動時や手返しにおける軽快性へ繋がり、より多くのポイントを、より多く探れるといったメリットを享受できる。当然、キスとの接点が増え、釣果アップが期待できる。足を使ってポイントを探ったうえで数を競う競技においては特に大きなアドバンテージとなるだろう。

プリントジップシャツフーディを着用する矢野。沖を見つめ機会を窺う。
プリントジップシャツフーディを着用する矢野。竿を立て、リールを巻いている。

吸汗・速乾に優れているうえ、UVカット率90%以上のニットベース生地を用いたフード付きウエア『2WAY プリントジップシャツフーディ』は炎天下のシチュエーションで特に重宝する。
縫製パターンを最小限にして肌へのあたりや縫製部分の突っ張りを抑制するデザイン手法を採用しているため、大きな動作を伴う投げ釣りにおいても最高のパフォーマンスを発揮してくれる。

ライバルに差をつけられる鋭い「超」遠投性能

さらなる使用感をうかがってみると、次のような答えが返ってきた。

「張りが強く、パワーを感じますね。アルティメイトスペックの特徴である細身のブランクによって高まったスイングスピードと相まって〝竿が投げてくれる〟という感覚を強く感じられるのが35号の特徴ですね。もともと遠投力には定評のあるシリーズだけに、向上心の強い競技志向のキス釣りフリークにとってはうれしいの仕様といえるでしょう」

実際、35号のプロトタイプでは15号オモリだけを用いた遠投テストを何度となく繰り返してデータを取り、33号モデルに対して平均5%の飛距離アップを確認したとのこと。33号モデルでは何十回と投げても超えなかった165mという高い壁も難なくクリアできたことで遠投性の高さを実感したという。「遠投力に自信があるキャスターであれば、同様のキャスティングで200m以上の飛距離も難しくないでしょう」というのが矢野さんの見解だ。

仕掛けが投げ込まれる寸前の写真。竿が力強く大きな弧を描いている。

「かたい竿ほどタラシを長く設定するのがよりよく投げるコツの1つ」 反発力の高い竿ではタラシを長く設定するのが有効。そうすることで遠心力が増し、飛距離アップが期待できる。

「5%」と聞くとたいしたことがないと思われるかもしれないが、正面のみならず前方全方向の5%のエリアがプラスαの射程圏になると考えるとどうだろう?
矢野さんのようなキャスティングに自信のあるエキスパートがたくさん出場する競技会において、竿抜けを探るという点において大きな武器となることがご理解いただけるだろう。「高いレベルで拮抗する中において5%の射程圏拡大のアドバンテージはかなり大きいですよ」と、矢野さんもそのプラスαが持つ優位性の大きさを強調していた。

仕掛けに掛かった、良形でサイズのあるキス。釣り上げた矢野は笑顔だ。

竿抜けをとらえることができれば自ずとサイズアップも期待できる。広範囲を探れるメリットはサイズを求めるキャスターにとっても大きいといえる。

飛距離向上+トラブル低減の
専用のガイドセッティング

「飛距離の向上は反発力の強い素材や工法を用いた35号だからなせる優位性ではあるものの、専用のガイドセッティングといった細部にも遠投性を高める工夫がなされているのも注目点ですね」

アルティメイトスペックのガイドは、ラインにかかる抵抗が軽減されるトルザイトを採用している(トップのみSiC)。それによって、感度面で優位な小口径ガイドを採用しながらもラインの高い放出性を実現し、遠投性能の向上へと繋げている。そして、30号と33号では25→12M→10M→8→6→6→トップ8。27号は20⇒12M⇒10M⇒8⇒6⇒6⇒トップ8で1-1、1-2ガイドはより穂先を軽快にするためシングルフット仕様というセッティングに対し、競技会をはじめとした遠投を駆使したいシチュエーションを想定した35号は30→20→16→12→10→8→トップ10という具合に大きな口径のサイズを採用した専用設計となっている。この大きな口径を採用することにより、飛距離の向上以外に道糸に付着した海藻などのゴミによるガイド詰まりの軽減できるというメリットもある。1分1秒のロスが勝負の分かれ目となる競技会においてトラブルが減るセッティングは有意義といえるだろう。

アルティメイトスペック穂先のガイド
アルティメイトスペック ガイドの内の一つを拡大した写真

35号のガイドセッティングは遠投重視。他の号数よりも大きなサイズを用いた専用設計となっている。

安定したオモリのトレースを支える穂先パワー

「もう1つ優位性として感じられるのは、底の起伏が大きな釣り場でもオモリを一定の速度で引きやすいことですね」

全体的に張りがあるうえ、1番にもパワーを持たせている35号はオモリをトレースする際の穂先の安定性が高い。たとえば、カケアガリやヨブをはじめとした大きな変化がある場合、穂先が入りやすい竿は変化を抜けた際の曲がりの反動で仕掛が大きく動き、とらえたポイントを確実にトレースできないという懸念がある。その点、パワーがある穂先は変化に対しても曲がりにくいため仕掛は意図せぬ動きをせず、ポイントをじっくりと探ることが可能。1匹を取りこぼさずにていねいに釣ることが求められる競技の釣りにおいても35号ならではの穂先のパワーは頼もしい存在となるだろう。

しゃがんで竿を立て、沖を見つめる矢野

キャストフィールや感度などの実釣面における優位性を実感できる『がま投 アルティメイトスペック』。キスの引き釣りをはじめ投げ釣りの魅力を追求したいキャスターには最適な1本だといえる。

ラインを持ち、釣り上げたキスを手繰り寄せる矢野

「小さいのが掛かりましたよ!!」 高感度モデルとあって当日はこのような小さなキスの反応もしっかりと手もとで捉えることができた。

「注意したいのは、誰もが使える万人向けではない〝究極〟のトーナメント仕様であって、絶対に飛距離が伸びるわけではないということです。全体的に張りが強い竿だけに、個々のキャスティングの技量や体力を考慮して選択すべきですね」

ここまで35号の優位性を紹介したが、矢野さんがいうように体力の他にもキャスティングの方法やクセなどによっては33号以下の方が仕掛をより遠くへ飛ばせることもある点を理解していただきたい。むしろ通常のキス釣りであれば33号以下の竿で満足できる方が大半だろう。

片足を上げて序速をつけ、竿を振ろうとする矢野

「とにかく初速が大事!!」 かたい竿をしっかりと曲げるには振り出し時のパワーが重要。ゆったりと振りだすのではなく、遠心力を生むように最初からフルパワーで竿を大きく振ることを意識すると、35号のスペックを最大限に引き出すことができるとのことだ。

竿を振り抜く直前の矢野

したがって、35号に関しては「大遠投でライバルに差をつけたいトーナメントモデル」という位置づけで捉えてもらうのが正解かもしれない。もっとも、使いこなせればキス釣りの新たな世界が広がるはずである。

〝究極〟を追い求めて完成した『がま投 アルティメイトスペック』の個性をいっそう洗練して完成した35号の可能性の高さにぜひ注目してほしい。