G杯 2023

第46回G杯争奪全日本アユ釣り選手権

2023-08-30

大会結果

 

第46回G杯争奪全日本アユ釣り選手権

 

開催日
2023年86日~88

開催地
岐阜県 馬瀬川

参加選手
30名

審査方法
予選は各試合での早がけのポイント制で、ポイントの総合計で各組の順位を決定。同ポイントの場合は、アユの総匹数(オトリを含む)で、さらに同匹数の場合は抽選で上位を決定。二次予選と決勝トーナメントはアユの総匹数(オトリを含む)で順位を決定。同匹数の場合は総重量の重い方を上位とする。

 

 

 第46G杯争奪全日本アユ釣り選手権が202386日(日)~8日(火)に岐阜県馬瀬川で開催された。全国各地で行われた予選の上位入賞者、シード選手、がまかつ推薦の30名が参加。台風の影響による雨が懸念されたが、7日の朝に少し降っただけで以降は強い日差しが降り注ぎ、まさに灼熱の戦いとなった。状況的には、開催の10日ほど前まではよく釣れていたものの、長く日照りが続いたためか、渇水気味でアユの活性も低め。

 7日に、まず予選リーグが行われた。10名ずつ3組に分かれて120分の試合を3戦行い、それぞれの組の中で、ポイント上位の4名が翌日の二次予選へと進む。

 黒っぽい石など狙いどころとしては当たり前のところを攻めてもなかなか釣れず、小さい石や白っぽい石を狙うなど、セオリーにとらわれないポイント選びで数を伸ばしていく選手もいれば、逆にそんな先入観にとらわれすぎて、釣果が伸びない選手もいて、臨機応変なポイントの見極めというのが一つの課題になった。

 ちなみに、前年度3位の川﨑選手は狙いを定めた石の頭にオトリを誘導し落ち着いたらそこで泳がせ、反応がなければまた次の石という感じでテンポよい釣りを展開。総匹数26尾で27ポイント、前回覇者の谷川選手も26尾で26ポイントを記録し注目を浴びた。

 

 そんな予選リーグを勝ち上がり8日の決勝トーナメント・予選へと進んだのは、川内篤浩(がまかつ登龍門)、小松和広(仁淀川予選代表)、長井慎太郎(神流川予選代表)、東隆信(大野川予選代表)、谷川光之(シード選手)、山﨑信久(相模川予選代表)、児玉智之(日野川予選代表)、日高義行(長良川予選代表)、下田成人(日高川予選代表)、廣岡昭典(がまかつ推薦)、川﨑智仁(シード選手)、丹羽浩和(興津川予選代表)の12名の選手。

 二次予選は翌日の午前6時半開始で神手橋から瑞穂橋の間で行われた。6名ずつ2組に分かれて90分を戦い、それぞれオトリ2尾込みの釣ったアユの総匹数で勝敗を決定する。廣岡選手は開始早々に掛け、その後コンスタントに連発。前日の予選ではオトリが思うように入らず、オトリを入れても1015秒で諦めるという苦しい展開の釣りを行っていたが、この日は幸先よくいいオトリが確保できたこともあって狙いを付けたポイントでじっくり集中して泳がせ、4尾、5尾と数を伸ばしていった。

 同様に、早めのオトリの交換に成功しポイント選びが的中した選手は、持てる実力を発揮して数を伸ばしていく。予選1組の長井選手が総匹数9尾、谷川選手が6尾、予選2組の下田選手が8尾、廣岡選手は7尾で児玉選手と同尾数だったが、重量差で接戦を制し、準決勝へと駒を進めた。

 準決勝は2組に分かれ共益橋上下流で同様に総匹数を競った。スタートは午前9時10分。しかし蓋を開けてみるとこの場所、なかなか掛からないという厳しい状況だった。それでも長井選手は、やや上流の平瀬を狙い、0.5号のオモリを打ってじっと待つという釣りでオトリの入れ替えに成功。そのオトリを持ってさらに上流へ移動し、得意とする落ち込みを狙って2尾目を仕留めた。半面、廣岡選手は最後までオトリが替わらず大苦戦を強いられた。

 もう一組、谷川選手と下田選手は、ともに熟練の釣りを展開。立て竿でじっくり泳がせ、それぞれなんとか1尾ずつ掛けた。しかしながら下田選手は根掛かりでのオトリを回収できなかったのが響き痛恨の敗戦となった。谷川選手は「一番しんどかったのはこの準決勝のとき。最初はオトリがよくて掛けたのに、バラしてしまってから悪くなってしまって…。オトリがなかなか沈まないから、立て竿でじっとしているとそのうち入っていく感じで、けっこう我慢の釣りでした」と1尾を取るのが大変厳しかったことを試合後にコメントしている。

 決勝は連覇のかかる谷川選手と長井選手の一騎打ちになった。試合時間は前半60分、インターバルを挟み、後半60分。前半と後半で釣り場を交代し総匹数を競う。舞台は、馬瀬川上流漁業協同組合前で午前1145分にスタート。

 前半戦、エリア選択権を得た谷川選手は上流側へ、対する長井選手は下流側へ。エリア上限にある瑞穂橋のすぐ下手のチャラ瀬に入った谷川選手は、やはり立て竿の泳がせ釣りに集中。25分ほど辛抱して1尾目を掛ける。その後は開眼。“掛かりそうな輝いた色をした石”を重点的に攻めて、同じ流れの筋を転々と釣り下りながらテンポよく掛けていった。「アユが走り回っているのが見えて、これは掛かるなと思ってオトリを入れたら、動きまくるのが分かったので、たくさんいるぞと思いました」と振り返っている。

 準決勝でもそうだったが谷川選手は、とにかく掛かるまで待つという辛抱の釣りに執心。垂直(たて)引きを駆使し、連続的にオトリを引いたり浮かせたり、テンションを等間隔にかけ、オトリが行きだしたら少し緩めたり、また上飛ばしも交えながらの展開。谷川選手が使った竿は、がま鮎ダンシングマスターH9.0mで穂先はソリッドを選択。自在にオトリを操作できて「ぼくに合う胴から入るような調子」というこの竿を強力な相棒とし精緻な釣りを続ける。

 対する長井選手は、最下流部のエリア下限ギリギリのポイントへ一気に下り、落ち込みのポイントでまず元気なオトリを確保。その後すぐさま中間地点にあるトロから瀬になる瀬肩のポイントに戻って思惑通りに2尾目を仕留める。

 長井選手はヤナギと3本イカリを併用する。大きい石の裏などを攻めるときは、イカリ。瀬ではヤナギという感じで使い分けている。決勝は、最初の1尾目を取るとき以外は、ほぼヤナギで通した。また長井選手は普段は引き釣りをすることが多いのだが、今回は立て竿でテンションをかけながら釣るというパターンもかなり多く、引き釣りだけでなく、泳がせるところはちゃんと泳がせるという攻めに徹底していた。「以前は釣るテンポが早かったんですけど、けっこう時間をかけて釣っていった方がいいですね。しっかり泳がせて、しっかり待ってやる釣りの方が掛かる確率が高いと思います」。そんな展開だったが、前半は谷川選手が6尾仕留め、長井選手は1尾という結果になった。

 場所を交代した後半戦は長井選手に何度かバラシがあり、流れを呼び込むことができない。「アユも大きく、ヤナギの仕掛けの先バリの方が顔周辺に薄く掛かることが多かったので、身切れした…という感じです」と長井選手。それに対して集中した釣りで順調に3尾を追加して着実な試合運びを見せた谷川選手が見事にG杯アユ連覇を果たした。

 最後に「オトリが沈みにくかったのもありますが、渇水でアユの活性も渋い中、皆さん養殖から天然に替えるのを苦労していましたね。決勝では谷川選手でも25分ずっとオトリが替わらずで、替えた途端にパパッと掛かりだしました。我慢してオトリを早めに替えることで落ち着いて試合運びをできたのではないかと思います。馬瀬川は、いつももっとパパッと掛かるイメージだったので、今回はだいぶ難しかったのではないでしょうか。決勝の場所では瀬を釣るより、立て竿でちょっと流れの緩いトロ場とかをきれいに泳がせた方が釣れるような印象を受けました。渇水のとき、1時間で20尾も掛からないような場合は、泳がせで粘り強く釣った方が数は伸びるのかなと思います」と廣岡保貴審査委員長の総評で今年のG杯アユは幕を閉じた。

■優勝者コメント 谷川光之

 2連覇はうれしいですね。今回のオトリは最初浮き気味だったので、皆さん苦労したと思います。しばらく泳がせているとやっと潜るような状態で、苦労しました。決勝でも1本目取るまでは辛抱をして、取れてからはコンスタントに掛かるという展開で、石色のいいところを転々と釣って下った感じです。集中した釣りを続けて今はかなり疲れているのですが、帰ってからしみじみと喜びが湧いてくるんだと思います。また3連覇に向けて日々精進したいと思います。

■準優勝者コメント 長井慎太郎

 G杯全国大会は3回目の出場で、今回2位になったことはもちろん嬉しいですが、びっくりしています。下見したときあまり釣れませんでしたが、なんとなく好きな釣りをできそうだなとは思っていました。ここけっこう落ち込みが多いじゃないですか。掛からない、掛からない!と言われていたんですが、落ち込みにはけっこう素直な魚がいたので、そんなのを丁寧に釣っていって、取ったという感じです。(シード権のある)来年は頑張って頂点を目指したいなと思っています。

■第3位入賞者コメント 廣岡昭典

 準決勝ではオトリが替わらずに終わって、かなり厳しい釣りになってしまったので、(下田選手との)3位決定戦では最後くらい気持ちよく釣りたいなと思って頑張りました。しかしながら、最初の30分くらいはなかなかオトリが替わらず、もうアユよう釣らんのと違うかなと思ったんですけど、1尾掛かってからポンポンと調子よく釣れましたね。結果は15尾(廣岡選手)対12尾(下田選手)で、けっこう入れ掛かりにもなったのでなんとか面目躍如というところですね。

決勝戦

順位ゼッケン氏名代表匹数重量(g)
優勝3谷川 光之シード11766
準優勝14長井 慎太郎神流川代表4316

三位決定戦

順位ゼッケン氏名代表匹数重量(g)
3位30廣岡 昭典がまかつ推薦151,213
4位19下田 成人日高川代表121,016

準決勝戦 結果

No.ゼッケン氏名代表匹数重量(g)結果
予選1組1位14長井 慎太郎神流川代表4322
予選2組2位30廣岡 昭典がまかつ推薦2 
No.ゼッケン氏名代表匹数重量(g)結果
予選2組1位19下田 成人日高川代表2
予選1組2位3谷川 光之シード3160 〇

5位~8位順位決定戦

順位ゼッケン氏名代表匹数重量(g)
5位6川﨑 智仁シード8792
6位9山﨑 信久相模川代表6496
7位25児玉 智之日野川代表4338
8位17川内 篤浩がま鮎登龍門2

二次予選・1組

No.ゼッケン氏名代表匹数重量(g)結果
117川内 篤浩がま鮎登龍門4252
27小松 和広仁淀川予選20
314長井 慎太郎神流川予選9650予選1組1位
428東 隆信大野川予選20
53谷川 光之シード6343予選1組2位
69山﨑 信久相模川代表5342

 

二次予選・2組

No.ゼッケン氏名代表匹数重量(g)結果
125児玉 智之日野川代表7485
223日高 義行長良川代表
319下田 成人日高川代表8739予選2組1位
430廣岡 昭典がまかつ推薦7520予選2組2位
56川﨑 智仁シード4283
611丹羽 浩和興津川代表3191

 

 <二次予選 競技説明>
・予選組は抽選により決定。6名2組の計12名により競技。各組上位2名の計4名が上位進出。
・準決勝の対戦カードは予選の結果によって決定。
・順位決定戦は、予選敗退者の計8名によって5~8位を決するために実施。
・二次予選、準決勝、順位決定戦は90分1試合。釣ったアユの匹数(オトリ込み)の多い方を勝者とする。
・匹数が同じ場合は、総重量(オトリ込み)の多い方を勝者とする。総重量も同じ場合は抽選にて勝者を決定する。
・決勝戦、三位決定戦は60分ハーフの前後半戦、合計120分1試合。釣ったアユの匹数(オトリ込み)の多い方を勝者とする。
・匹数が同じ場合は、総重量(オトリ込み)の多い方を勝者とする。総重量も同じ場合は抽選にて勝者を決定する。

予選 1組

No.氏名
(会場名)
第1試合第2試合第3試合最終結果順位
第1エリア第2エリア第3エリア
匹数得点匹数得点匹数得点
匹数

得点
1岩崎 秀雄
(仁淀川)
7656331515
2西部 春美
(長良川)
642010101814
3谷川 光之
(シード)
1089107826262
4青木 恒典
(那珂川)
762020116 
5秋山 征弘
(相模川)
6420781512 
6川﨑 智仁
(シード)
111078892627 1
7小松 和広
(仁淀川)
10989562324 3
8太田 雅司
(相模川)
20203373 
9山﨑 信久
(相模川)
8778562021 4
10田嶋 剛
(シード)
642044128 

 

予選 2組

No.氏名
(会場名)
第1試合第2試合第3試合最終結果順位
第1エリア第2エリア第3エリア
匹数得点匹数得点匹数得点
匹数

得点
11

丹羽 浩和

(興津川)

6104710820252
12

大川 直樹

(神流川)

203583138
13

中村 啓

(相模川)

2010106136
14

長井 慎太郎

(神流川)

61091010925291
15

甲斐 久与

(大野川)

203510101515
16

宮内 克典

(桧木内川)

203594149
17

川内 篤浩

(がま鮎登龍門)

474710718213
18

佐藤 豊文

(那珂川)

36910201416
19

下田 成人

(日高川)

610782015184
20

福士 浩司

(桧木内川)

36351151716

 

予選 3組

No.氏名
(会場名)
第1試合第2試合第3試合最終結果順位
第1エリア第2エリア第3エリア
匹数得点匹数得点匹数得点
匹数

得点
21

吉田 克巳

(九頭竜川)

207520115
22

秋末 満政

(日野川)

1010108202218
23

日高 義行

(長良川)

56109101025251
24

久保 博規

(日高川)

20202060
25

児玉 智之

(日野川)

68976621212
26

望月 譲

(興津川)

7943451517
27

柴垣 泰史

(長良川)

1086341210
28

東 隆信

(大野川)

68647719194
29

谷口 輝生

(九頭竜川)

4543891617
30

廣岡 昭典

(がまかつ推薦)

2010108920193

 

※釣果のない場合は人数に関係なく、全員0ptとする。同匹数の場合は、同じ得点を与える。
※4試合の総得点で争い、上位4名が二次予選へ進出。
※同ポイントの場合は総匹数(オトリ込)が多い方を上位とする。同ポイント、同匹数の場合は抽選にて順位を決定する。
※敬称略

その他の会場の大会結果