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G杯 2025

第47回G杯争奪全日本ヘラブナ釣り選手権

2025-11-07

大会結果

開催日

20251026日~27

開催地

茨城県 友部湯崎湖

参加選手

24

審査方法

予選では各組ポイント制。決勝では総重量勝負。

 

稀に見る超打撃戦。見応え十分の師弟対決。

激しいカッツケセットの打ち合いを制したのは、

昨年3位シードの若き新鋭、内田昌良選手!

 

 

 雨の予選 第一、第二試合

 1026日(日)友部湯崎湖の頭上には、黒い雲がどっかと鎮座していた。小雨降る朝。気温は16℃。もはやG杯名物となった初日の雨。続々と湯崎湖駐車場に集まってきた選手たちの表情も思わずこわばる。

 東北(宮城弁天池)2名、関東(椎の木湖5名、清遊湖5名)、中京(つつじ池4名)、関西(甲南へらの池5名)、に昨年上位シード3名を加えた計24名の“強者”が会場に出揃い、いやがおうにも緊張感が高まる。何人かに話を聞くと、「池の状態は良好だが、この天候は気になる」、「今年はいつもいいチョーチンがいまひとつで、浅ダナが有利」、「午後に食いが落ちる場合とそうでない場合があり、そのあたりの見極めが難しい」などという声が聞こえてきた。天気予報では、初日は1日中冷たい雨で、翌二日目は対照的に暖かい快晴となり、この天候変化が選手たちを早くも悩ませているようだった。

 630分、定刻どおりに受付が開始され、選手たちはまず初日の予選第一、第二試合の釣り座抽選を行ったあと、ゼッケンとファイナリストオリジナルパーカーを受け取る。続いて開会式となり、杉本智也審査委員長からは、「みなさんが納得された状態で気持ちよく競技に臨んで欲しい」と、丁寧かつ念入りな競技説明と質疑応答が行われる。選手たちも熱く、次々と質問の手が挙がり、それらひとつひとつに杉本審査委員長が丁寧に答えていく。それは「新時代のG杯」を感じさせる光景でもあった。

 大会で使用する桟橋は昨年同様に2号桟橋両面となり、6名ずつ4組に分かれて、その組内でポイントを争う。組は釣り座によって試合ごとに変動する。ポイント算出方法はシンプルで、ブロック1位が100ポイント。2位以下は1位の釣果に対して釣った割合で算出される。例えば1位が10㎏で2位が9㎏であれば、2位の獲得ポイントは90ポイント、ということになる。つまり、たとえ1位になれなくても離されることなく釣っておく必要があるわけだ。エリアは事務所から向かって左(手前)から1組、2組。裏向き手前から3組、4となる。

 

 

 8時、小雨舞う中でいよいよ全国大会最初の競技、予選第一試合がスタート。

 下馬評では好調を維持してきた友部湯崎湖だったが、やはりこの天候悪化により食いは少々落ちていた様子。本来、朝イチから釣れる池として知られる湯崎湖だが、この日の出足の竿の立ちは鈍い。そんな中、ファーストヒットは4組奥寄りの選手。エリア的には池の奥側がいい様子で、出足は明らかに4組がいい。

 全体的な釣り方としては、24名中15名の選手が浅ダナセット(タナはウキからオモリまで15㎝〜1mくらい)を選択。残りの9名がほぼチョーチンセットとなったが、中には両ダンゴや沖目をペレ宙で打つ強気の選手の姿もあり、全国大会ならではの「思い切りの良さ」も感じられる。

 9時を過ぎると出足が良かった4組の選手たちの中で、フラシ交換(12㎏カット、15枚を目安)の選手が出始める。やはりクワセにインスタントウドン等を用いた浅ダナセットが堅調で、昨年2位の楠 康一選手がフラシ交換の先陣を切る。またこの頃になると、強気の両ダンゴやペレ宙で入った選手たちもセット釣りに切り替わっており、やはり状態自体は「渋め」のようだ。

 釣り場に慣れている関東の選手に地の利があるように思われたが、そこは全国から強者が集まるG杯。なかでも名手としても知られる宮城弁天池代表の結城勝彦選手(山形)は、繊細なチョーチンセットを操り好調を維持していく。今年は例年と違って浅ダナ有利となっていたが、チョーチンでも釣っている人は釣っている。ただし、バラケが付いたままサソい続けているような攻め方ではなく、より繊細なアプローチが求められているようで、確かに「チョーチンにすれば釣れる」という単純なものではないようだ。その証拠に、昨年王者の斉藤健一選手のチョーチンも苦戦を強いられており、のちに浅ダナへのスイッチを余儀なくされていた。

 

 

 11時、予選第一試合が終了。各組上位はやはり浅ダナセットが占めたようで、11尺と他選手よりやや長めの竿を出して沖の活性の高いへらを狙った楠 康一選手、対照的に最短竿の7尺で攻め抜いた「ミスターG杯」上村恭生選手、そしてその「弟子」でもあり、昨年3位の内田昌良選手、そして例の「粒もじバラケ」の創始者としても知られる関東の大ベテラン、佐々木武弘選手がそれぞれブロック1位を奪取し、100ポイントを獲得する。釣り方は全員浅ダナセットとなり、やはり昨年とは少々雰囲気が違う。

 そんな「浅ダナ有利」の情勢は続く第二試合も顕著となり、関東の浅ダナセットの名手と知られる佐藤 勝選手が3組を圧倒。同じく中京の浅ダナ名手、石原弘三選手も隣の楠選手に競り勝って4組を制圧し、100ポイントを獲得。そして昨年覇者の斉藤選手も浅ダナで復調し、2組トップ。内田選手は77.1ポイントとやや全体順位を落としたものの、「師匠」の上村選手はまさに絶好調で2連続トップの200ポイントを獲得し、2試合が終わった時点で全体トップに君臨した。

 翌日の決勝戦に進めるのはたったの5名。上村、佐藤、楠、石原、斉藤と続き、「ボーダー」となった6位に内田選手、そして7位、8位には関東の小野弘晶選手と山村慎一選手というトップトーナメンターがひしめき、まったくもって予断を許さない状況となって初日が終了する。

 

 

 全国から選手が集まるG杯の名物として、宿泊ホテルにて開催される「敢闘祭」がある。そこでは来賓の笠間市長の激励の挨拶等に続き、予選会ごとに選手がステージに上がり、ユニークな自己紹介や写真撮影等で大いに盛り上がる。そして地元・笠間市にちなんだ豪華な料理に舌鼓を打ちつつ、選手同士の交流が図られていた。こういった場も「全国大会」ならではで「いつかはG杯」と言われる所以だろう。

 

敢闘祭、そして二日目、予選第三試合

 

 

 さて、そんな敢闘祭で十二分に英気を養った選手たちは、翌日朝、再び決戦の地・友部湯崎湖へと集結。この日は前日とは打って変わって快晴予報で、早朝の湯崎湖は幻想的な朝もやの景色に包まれ、虹も架かる。

 心配された朝の冷え込みはモヤのせいかさほどではなく、暖かい朝。日中は気温が20℃になる予報で、ヘラブナの活性が上がるのも必至。こう書くといいことづくめのようだが、活性の上昇はチョーチンの復調につながることもあるので、これはこれで選手たちを悩ませることにもなる

 1027日(月)、いよいよ決勝戦へ進む5名を決める予選第三試合がスタート。

 前夜の敢闘祭での抽選で決められた釣り座に選手たちが並び、7時、朝モヤの中で競技スタートのホーンが鳴り響く。

 1組では、前日の勢いそのままに、浅ダナセットの佐藤 勝選手が走る。

 最注目は楠選手に加え、「ボーダー」の小野選手と山村選手がいる2組。小野選手と山村選手は楠選手を上回れば、それが決勝進出に直結するため、気合十分。

 3組は内田選手が出足から冷静に釣り始め、グループを引っ張る。やはり得意の浅ダナセットで、一貫して釣り方にブレはない。派手に釣り込む場面は少ないのだが、ウキを動かしながら崩れず拾い続けるといった感じで、非常にクレバーな釣りという印象だ。

 4組は上村、石原、斉藤が三つ巴の激戦を展開。今大会絶好調の上村選手が序盤から飛ばしまくるが、石原、斉藤両選手も負けじと同じ浅ダナでくらいついていく。

 

 

 1時間半経過した8時30分、小野選手が全体トップでフラシ交換。昨年も決勝戦まで勝ち上がった小野選手は雪辱に燃えており、楠選手を上回るペースで釣り込んでいく。そしてチョーチンに変えた山村選手も復調しており、これは分からなくなってきた。

 3組は内田選手に続いて結城選手も好調で、2フラシ目へ。結城選手の最後まで諦めない姿勢もまた、G杯ならではだ。

 4組は石原選手が一歩抜きん出て、最初にフラシ交換。上村選手はやや苦戦しているようにも見えるが、その表情は落ち着き払っており、着実にヘラブナを掛けていく。

 各組大混戦となった予選第三試合は、10時、気温の上昇とともに熱気に包まれたまま終了

 その結果、全体トップは終わってみれば第三試合も無難にまとめた上村恭生選手に確定。2位は佐藤 勝選手、3位は石原弘三選手、4位は楠 康一選手、5位は内田昌良選手。

 惜しくも「次点」となってしまったのは小野選手と山村選手。小野選手は第三試合で楠選手を上回ってグループトップとなったが、ポイントで内田選手にわずかに届かず、苦杯を舐める格好となった。厳しいが、これもまたG杯。次回また捲土重来で戻ってきてくれることだろう。山村選手、そして第三試合で爆発した佐藤康弘選手もわずかに届かなかった。

 

 

順位選手名第1試合第2試合第3試合合計ポイント
1位上村恭生100 pt100 pt98.3 pt298.3 pt
2位佐藤 勝98.6 pt100 pt88.3 pt286.9 pt
3位石原弘三93.2 pt100 pt89.8 pt283.0 pt
4位楠 康一100 pt96.3 pt83.1 pt279.4 pt
5位内田昌良100 pt77.1 pt100 pt277.1 pt
6位小野弘晶84.5 pt88.3 pt100 pt272.8 pt
7位山村慎一76.9 pt86.2 pt96.9 pt260.0 pt
8位佐藤康弘65.6 pt93.8 pt100 pt259.4 pt
9位手塚勝典98.6 pt63.8 pt93.2 pt255.6 pt
10位斉藤健一82.8 pt100 pt71.2 pt254.0 pt

 

三つ巴の超大接戦となった決勝戦!

 

 

まるで初夏を思わせるような陽気となった日中、決勝戦に駒を進めた5名が特設ステージに集まり、釣り座抽選とインタビューに臨む。

関西のいや、もはや全国を代表する大ベテラン、上村恭生選手。

「浅ダナの魔術師」として知る人ぞ知る全国規模のビッグトーナメント常連、関東の佐藤 勝選手。

浅ダナの名手として各大会を席巻中、中京の石原弘三選手。

昨年大ブレイクを果たした浅ダナセットの達人、楠 康一選手。

昨年3位、「上村門下生」として彗星の如く現れた西のセットマン、内田昌良選手。

 

誰が勝ってもおかしくない顔ぶれが揃い、いざ、決勝戦へ――――――。

 

 

 1145分、2号桟橋向かって左より、上村、楠、石原、内田、佐藤の各選手が間隔を保って座る。桟橋に5名のみという、全国大会決勝ならではの「異常事態」に、どう対応していくのか。果たしてプレッシャーから解放されたウキは動くのか、動き過ぎるのか、はたまた渋るのか。運命の合図が響き渡る。1445分までの3時間一本勝負だ。

 釣り方は全選手7尺浅ダナ(カッツケ)セットと、揃った。やはり桟橋に5名のみということで、高活性を想定し、予選時は長めの竿を出していた選手も7尺に変更してきた。タナは微妙な差はあれど、全員ウキからオモリまで約20cm前後と、こちらも高活性を想定して浅め。特に今大会は水面直下に活性の高い良型がいる傾向で、この良型を上手く釣果に取り込めるかが勝敗を左右するというのを選手たちも予選を通して肌で感じているのだろう。

 開始から2投目、ファーストヒットは内田選手だ。

 その表情は予選時から終始落ち着いており、1枚目を掛けた時も眉ひとつ動かさない。5人の中では年齢は一番若いが、この年齢に似合わぬ冷静さこそ内田選手の強みか。

 内田選手に続いたのは、「師匠」の上村選手。もともと浅ダナセットが得意な選手ではあるが、内田選手の台頭がいい刺激になっているのか、一昨年の野田幸手園あたりから往年のキレが完全に戻ってきた感があり、今大会でも予選から絶好調をキープ。トップで決勝に上がってきた勢いそのままに、鋭いアタリをとらえて先行していく。

 序盤は走る上村選手に内田選手がピタリとついていく展開。しかし佐藤選手、そして楠選手も負けてはおらず、上村選手&内田選手の逃げを許さない。そしてここから一歩抜け出たのが内田選手と楠選手。反面、やはりウキが動き過ぎるのか、苦戦となったのが、石原選手だ。

 しかし、まだ決勝戦は始まったばかりだ。

 

 

 開始から30分経過

 上村6枚 楠10枚 石原3枚 内田11枚 佐藤6

 他選手より少しだけタナを取っている楠選手。もともとメーターの釣りが得意な楠選手は、カッツケ(1m以内のごく浅いタナ)が好調だというのは十分承知の上で、あえて自分の釣りのリズムに引き込もうとタナを深めにしているのだ。

 反面、水面直下の浅めを狙っているのが佐藤選手や内田選手。佐藤選手は普段からカッツケが得意であり、自信を持って最上段を狙っているのだろうが、いかんせんアタリのわりに空振りが目立つ展開。

 対照的なのが、内田選手。派手に釣り込む雰囲気は薄いのだが、明らかに他選手よりヒット率が高い。それもウキの動きやアタリを一定にしているのではなく、適度に荒らしながら、その中で的確な選球眼で食ったアタリをとらえているという印象なのだ。

 楠選手は特徴的な攻撃的セットで、ウキの動きは荒めだし、止まっている間隔も長いのだが、ズバズバと2、3枚連続して釣る場面が目立つ。これもまた楠選手のリズムであり、あえてそうしている感が見て取れる。同じ7尺浅ダナセットでも、スタイルは皆それぞれに異なる。面白いものである。

 では上村選手はどうか。

 決勝に上がった5人の中で、上村選手のウキの動きは最もパターン化されていた。まず、必ず深いナジミをキープ。いったんトップは水面ギリギリまで深ナジミしていて、そこからのアタリのみに的を絞りきっている。おそらくヘラブナをタナに落ち着かせながら釣っていくという意図なのだろう。釣り込む感じは楠選手のような派手さはないのだが、コンスタントにアタらせ、気がつけば釣っているという雰囲気なのだ。

 まさに、大ベテランの味。

 

 

 1315分(折り返し地点)

 上村31枚 楠28枚 石原21枚 内田32枚 佐藤24

 

 開始から1時間半、ちょうど中間地点を過ぎたところで、試合は「上村vs内田」の師弟対決の空気が色濃くなってきていた。しかし、ここから楠選手がジワジワと二人との差を詰め始め、その師弟対決に割って入るのである。

 隣の楠選手の猛追に、上村選手の闘志にも火がついたのだろうか。微妙にタナが浅くなったように見えたあたりから、上村選手のギアがさらに一段上がる。1323分、34枚目を釣り、初めて33枚の内田選手をリード。アタリのパターンは相変わらずで、いったんは必ず深ナジミさせた上での「ドン」。対する内田選手は上村選手よりナジミ幅は一定していないが、あえてそうしているようにも見える釣りで、時には浅ナジミから連続でバラケを食わせ、時には深ナジミさせ、やや、待ってからのアタリでヒットと、上村選手よりも魚に合わせていくような釣りに徹している。

 そして楠選手のギアも、ここからさらに一段上がる

 

 

 1345分(残り1時間)

 上村41枚 楠39枚 石原28枚 内田40枚 佐藤34

 

 上村選手、内田選手、楠選手が三つ巴の大接戦。石原選手は苦しい展開が続くが、佐藤選手もジワジワと釣りをアジャストさせていき、走る3人に食らいついていく。

 14時、上村選手が連続ヒットで47枚とする。頑なに深ナジミを貫く上村選手。やはりそれが安定感をもらしているのか、ここにきてジワリとペースを上げてきた。この時点で内田選手は44枚、楠選手は43枚。少し離したか。

 しかし、本当の勝負はここからだった。

 47枚目を釣った後、タナのへらを釣り切ってしまったのか、上村選手のヒットが止まる。

 その一瞬を見逃さず、隣の楠選手が早いアタリで連続ヒット。内田選手もポーカーフェイスを崩さないまま、淡々とカウントを積み上げていく。

 1419分、上村選手が久々のヒットで50枚の大台に。しかし内田選手、楠選手がともに49枚とピタリ。

 そして、ここから山場を作ったのが内田選手だった。

 なんと5連続ヒットを決めて一気に53枚とし、上村選手を再逆転。そのまま引き離しにかかったのだ。

 このまま内田選手が優勝を決めてしまうのか

 会場全体がそんな空気に包まれた瞬間、また上村選手が息を吹き返す。再びタナに良型がたまったのか、深ナジミした後の強いアタリが復活し、ラッシュを決め始める。 そして驚くべきことに、そんな上村選手につられるように、楠選手もまた連続ヒットを決め始めるのだ。

 

 1438分、上村56枚、楠57枚、内田56枚。

 1440分、終了5分前。ここで勝負に出たのが楠選手だ。「もう釣りが壊れてもいい」とリミッターを外したのか、出るアタリ全てに果敢にアワせ始め、4回連続空振りの後の5回目で乗せる。これで58枚。上村、内田両選手は56枚のまま。昨年、各種全国大会を総なめにした楠選手。やはり「勝負所」を知っていたのか、その電光石火のアワセに微塵も躊躇がない。

 勝負に出た王者にこのまま押し潰されるか……

 しかし――――――

 楠選手のスイッチオンが、上村、内田両選手の釣りにもスイッチを入れる。

 楠選手がズバズバと空振っていく中、上村選手、内田選手が静かにヒット

 

 そして――――――

 

 1445分、決勝戦、3時間の激闘が終了。

 選手の後ろに掲げられたカウンターの数字は

 

 上村57枚 楠58枚 石原50枚 内田57枚 佐藤48

 

 最後のラッシュが効いた楠選手が58枚で、枚数ではトップ。しかし、勝負は総重量。運命の結果は、慎重な検量に持ち越された。

 おそらく後世に語り継がれるであろう、誰が勝ってもおかしくない名勝負。そして、その歴史に残る名勝負を制したのは、わずかに「型」で上回った浅ダナセットの新鋭、内田昌良選手であった。

 

順位選手名枚数重量
優勝内田昌良5726.10
準優勝上村恭生5725.20
第3位楠 康一5824.05
第4位佐藤 勝4823.95
第5位石原弘三5019.75

 

 

 

「超えちゃいましたね」 

 表彰式、インタビュアーに「壁を超えましたね」と振られた内田選手は、少しはにかんでそう答えた。そしてその視線はチラと右隣に立つ「師匠」上村恭生選手に向けられる。

「この舞台に立てば、師匠も弟子も何も関係ない。ただ一生懸命釣るだけや。そら悔しいけど、内田君が勝って嬉しい気持ちもある。複雑よ(笑)」

「師匠」上村恭生選手もまた、生粋のアスリートである。立場や年齢は関係なく、ただただ勝者を称える。

「昨年が2位で、今年が3位。ひとつ下がってしまいましたが(笑)、シードをいただけたので、来年また一生懸命やるだけです」

 今大会、予選時から絶好調だった上村&内田の師弟対決に堂々割って入り、「あわや」というところまで追い詰めた楠選手の「自力」もまた、凄かった。やはり昨年の大ブレイクはフロックなどではなかったのだ。

 戦い終わり、鮮やかな秋晴れの夕暮れ時。選手たちはそれぞれに健闘を讃えあいながら、笑顔で帰路へと着いた。

 

 

優勝 内田昌良選手 浅ダナセット

  • 竿 がまかつ【がまへら飛翔天】7
  • ハリ 上がまかつ【A1アスカ】6号 下がまかつ「コム」3、4号
  • 道糸 0.8
  • ハリス 上0.6号 下0.5号 8―2226
  • ウキ 達明 カヤボディ3.5㎝ パイプトップ仕様 エサ落ち目盛は全7目盛中4目盛出し
  • バラケ 粒戦、もじり、BBフラッシュ各100cc+軽麩50cc+水100cc
  • クワセ 力玉さなぎ粉漬け

 

「予選から迷いなく7尺浅ダナセットで戦い抜きました。ウキが立ってすぐの早いアタリを軸に、状況に合わせて乗るアタリを見極めながら、決めつけずに釣っていきました。常にウキを動かす意識で、ここぞというところだけ小エサにし、釣りにかかるという感じで、その時はバラケも食わせていくような感じでした。決勝戦の30分前、かなりヘラブナが寄ってきた感じがしたので、下ハリスを22㎝に詰め、下バリをコムの4号に大きくし、結果的にはこれで連続ヒットを決めることが出来ました。そして、早いアタリで上から飛び込んでくるようなアタリが良型でしたので、これが勝因かもしれません。G杯全国2回目で初優勝は、夢のようです。そしてまた次回、このレベルの高い中でやれると思うと、とてもワクワクします」

 

 

2位 上村恭生選手 浅ダナセット

 

  • 竿 がまかつ【がまへら千早】7
  • ハリ 上がまかつ【A1アスカ】5号 下がまかつ「イヅナ」3
  • 道糸 0.8
  • ハリス 上下0.5号 8―25
  • ウキ 達明 カヤボディ3.5㎝ パイプトップ仕様 エサ落ち目盛は全6目盛中4目盛出し
  • バラケ 粒戦50cc、ヤグラ50cc、もじり、BBフラッシュ各100cc+水100cc
  • クワセ 力玉ハードS

 

「釣り方は得意の7尺浅ダナで決め打ち。『千早』は軽くて操作性がいいだけでなく、浅ダナ(カッツケ)ならではの沖走りを止めてくれるので、普段から愛用している竿。アタリのパターンとしては、あまり上で騒がせないよう、必ずいったんは深ナジミさせることを心掛けていた。その分、下ハリスはやや長め。そして下バリは軽い『イヅナ』にし、タナでクワセを遊ばせるような釣りで帳尻を合わせた。また試釣時から湯崎湖の浅ダナでの活性が高かったので、バラケへのアタリも積極的に狙っていた。感覚的には、『ちょいクワセで割合が多い』くらいに割り切っていた。(今回優勝すれば3回目でしたねの振りに)3回目は意外と遠い。それだけ簡単なことではないということ。可愛い後輩との勝負ということでやりにくさはあったけど、あそこ(決勝戦の舞台)に立ったら全力でやるだけ。正直悔しいけど、たまには後輩に花を持たせたということで(笑)。今回も車で一緒に来ているので、帰りは私が運転させていただきます(笑)」

 

 

3位 楠 康一選手 浅ダナセット

 

  • 竿 がまかつ【がまへら飛翔天】7
  • ハリ 上がまかつ【A1リフト】5号 下がまかつ「スッポン」4
  • 道糸 0.7
  • ハリス 上下0.5号 8―28
  • ウキ  SATTO ピーチPT ボディ4.5㎝ パイプトップ仕様 エサ落ち目盛は全7目盛中4目盛出し
  • バラケ 粒戦100ccBBフラッシュ100cc+浅ダナ一本50cc+もじり50cc+水100cc
  • クワセ さなぎ感嘆10cc+水10cc

 

「基本的にはバラケが付いた状態での強いアタリを取っていきました。今回は湯崎湖の浅ダナの活性が高かったので、普段のバラケよりタッチをダンゴっぽくして、バラケも積極的に食わせにいくような釣りでした。ただガッチリ持たせるというより、釣れる時は抜きっぽい感じの浅ナジミで、ウキを踊らせていくような感じでした。どのみち何枚か釣ると間が空いてしまうので、開き直って釣れる時は釣ってしまおう、という感じで釣っていました。特に決勝戦の最後は、もう壊れてもいいという感じで攻めまくりました。そんな中で、下バリだけは重めの『スッポン』にすると的確なアタリが出てくれる感じで、試釣時からずっと使い続けていました。昨年は2位で、今年は3位。ひとつ下がってしまいましたが、次回こそは頂点を目指して頑張りたいと思います」

順位ゼッケン氏名
優勝2内田昌良(シード)
準優勝22上村恭生(甲南へらの池)
第三位3楠康一(シード)

決勝戦

試合日時:27日(月) 11:30~14:30
フラシ重量(kg):1.6

 

ゼッケン氏名総重量

枚数

3内田昌良(シード)26.10 kg

57

22上村恭生(甲南へらの池)25.20 kg57
2楠 康一(シード)24.05 kg58
23佐藤 勝(甲南へらの池)23.95 kg48
17石原弘三(つつじ池)19.75 kg50

 

予選

ゼッケン氏名第1試合第2試合第3試合合計

26日(日)

8:00~11:00

26日(日)

12:00~15:00

27日(月)

7:00~10:00

重量ポイント重量ポイント重量ポイント総合重量総合ポイント順位
22上村恭生(甲南へらの池)211.6kg100.0pt116.6kg100.0pt411.60kg98.3pt39.8kg298.3pt1
23佐藤勝(甲南へらの池)414.4kg98.6pt313.0kg100.0pt110.60kg88.3pt38.0kg286.9pt2
17石原弘三(つつじ池予選)413.6kg93.2pt416.0kg100.0pt410.60kg89.8pt40.2kg283.0pt3
2楠康一(シード)414.6kg100.0pt415.4kg96.3pt210.80kg83.1pt40.8kg279.4pt4
3内田昌良(シード)113.0kg100.0pt112.8kg77.1pt316.20kg100.0pt42.0kg277.1pt5
20小野弘晶(甲南へらの池)29.8kg84.5pt210.6kg88.3pt213.00kg100.0pt33.4kg272.8pt6
8山村慎一(椎の木湖予選)110.0kg76.9pt311.2kg86.2pt212.60kg96.9pt33.8kg260.0pt7
9佐藤康弘(椎の木湖予選)38.4kg65.6pt312.2kg93.8pt411.80kg100.0pt32.4kg259.4pt8
11手塚勝典(清遊湖予選)414.4kg98.6pt410.2kg63.8pt411.00kg93.2pt35.6kg255.6pt9
1斉藤健一(シード)310.6kg82.8pt212.0kg100.0pt48.40kg71.2pt31.0kg254.0pt10
16礒貝一彦(つつじ池予選)18.8kg67.7pt413.6kg85.0pt110.60kg88.3pt33.0kg241.0pt11
7小野寺淳一(椎の木湖予選)410.8kg74.0pt49.6kg60.0pt112.00kg100.0pt32.4kg234.0pt12
12佐々木武弘(清遊湖予選)312.8kg100.0pt26.2kg51.7pt19.20kg76.7pt28.2kg228.4pt13
18大谷貴徳(つつじ池予選)110.8kg83.1pt27.4kg61.7pt49.60kg81.4pt27.8kg226.2pt14
21岡田健司(甲南へらの池)26.4kg55.2pt28.4kg70.0pt312.80kg79.0pt27.6kg204.2pt15
13生天目弘次(清遊湖予選)29.8kg84.5pt17.8kg47.0pt311.00kg67.9pt28.6kg199.4pt16
19前山智孝(つつじ池予選)49.0kg61.6pt112.4kg74.7pt39.40kg58.0pt30.8kg194.3pt17
24浜中憲篤(甲南へらの池)18.0kg61.5pt312.0kg92.3pt24.80kg36.9pt24.8kg190.7pt18
4結城勝彦(宮城弁天池予選)111.2kg86.2pt18.0kg48.2pt38.60kg53.1pt27.8kg187.5pt19
14本宮光基(清遊湖予選)26.8kg58.6pt28.2kg68.3pt16.80kg56.7pt21.8kg183.6pt20
15佐藤達朗(清遊湖予選)37.8kg60.9pt35.6kg43.1pt16.80kg56.7pt20.2kg160.7pt21
5米田勇一(宮城弁天池予選)37.2kg56.3pt46.6kg41.3pt27.20kg55.4pt21.0kg153.0pt22
10田中雅司(椎の木湖予選)25.6kg48.3pt35.8kg44.6pt38.80kg54.3pt20.2kg147.2pt23
6佐藤拓実(椎の木湖予選)37.2kg56.3pt17.6kg45.8pt24.60kg35.4pt19.4kg137.5pt24

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